猫様の下僕姉弟の生活

猫様とゲームとコスメ

【ニーア】ウェポンストーリーまとめ(小型剣)

NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)のウェポンストーリーまとめ(小型剣)です。

数が多いので穴開きにはなりますがチマチマ更新したいと思います。

赤熱の小剣

 とある国で一人の鍛冶師が店を営んでいた。

 彼にはよき競争相手がおり、お互いにその技を磨きあっていた。

 

 しかし、ある時から相手との実力に差が開き始めてしまう。

 鍛冶師の店からは徐々に客足が遠のいていった。

 

 鍛治師は相手に後れてなるものかと必死に腕を磨いたが、何年経っても埋まらない実力差に絶望した。

 

「お前さえいなければ……」

 彼を妬き、彼を焼いた炎で鍛えた剣には羨望の炎が宿っていた。

 

青熱の小剣

 海岸に佇む、落ちこぼれの騎士がいた。

 男は海に向かって愚痴をこぼす。

 哀れな弱い自分を、貧しく孤独な暮らしを。

 すると突然波が立ち、一本の剣が浜辺に打ち上げられた。

 

 男が拾った剣は不思議な魔力を帯びていた。

 握りしめると、ひんやりと心地いい感覚がする。

 心が穏やかになって、敵を目の前にしてもその剣を握っていれば、恐怖に飲まれることはなかった。

 

 落ちこぼれだった男は、勇敢な騎士へと変わっていった。

 どんな戦況にも動揺せず、戦いに身を投じていった。

 男はやがて、地位を、富を、名誉を手に入れた。

 

 しかし男は、地位も、富も、名誉にも喜ばなかった。

 ただその剣を握り、心地いい感覚を味わっていたかった。

 剣の魔力に触れ続けた男は、心も体も冷たくなり、何も感じない鉄の塊になっていった。

 

悔啖の剣

 山岳を望む丘に凛とした風が通り抜けて、足元に咲く小さな花が揺れる。

 妹が笑顔でこちらを振り向く。私はそれだけで満たされる。

 この小さな世界を守ることが、私の使命だと思っていた。

 

 燃え上がる炎、人々の叫び、地面を染める血だまり。

 それらの現実を目の前にして、私は途方もなく無力だった。

 欲、暴力、醜い兵士の薄笑いが、全てを黒く染めていった。

 

 黒い意識の底。

 ぼんやりとした頭に響くのは、妹の笑い声。

「そうか……私は悪夢を見ていたんだ」そんな希望を、私の身体の全てが否定した。

 嫌な夢を振り払うように、私はただ声の呼ぶ方へ走る。

 

 本当のことを確かめてしまったら、もう後戻りはできない。

 しかし、私にはもう、戻る場所なんてなかった。

 いつでも私の希望だった小さな笑顔。

 その瞼を閉ざしたとき、復讐だけが希望になった。

 

銷魂の剣

 この部屋はいつも、どこか仄暗い。朝も、昼も、夜も。

 その暗闇は部屋の隅に潜んでいて、俺のことを見つめている。

 そんな話をすると、父さんは俺の背中を叩く、母さんは優しく撫でてくれる。

 何も怖いものなんてないよ、と教えてくれる。

 

 戦争の足音が聞こえる、それは銃声と共にやってくる。

 不安の色はどんどん濃くなっていき、ついに俺の目の前に現れた。

 そいつが去ったあと、目の前に残されたのは、父さんと母さんの亡骸だった。

 俺は自らの弱さを呪った。

 

 俺は自分の命を、怒りと復讐に委ねた。 そうしたら、何も不安に思うことは無くなった。

 俺の一番大切だったもの、父さんと母さんの愛情。

 それを奪った奴を一生許さない。仇を討つ。 それだけが、俺の生きる理由になった。

 

 俺の生きる理由が、俺に与えた答え。 それは、偽りの人生の帰結だった。

 何のために生きてきたのか、何のために戦ってきたのか、何もわからなくなってしまった。

 俺はゆっくりと目を閉じる。 もうこれで、全てが終わりますように。そう願って。

 

翠鉄の小剣

 ある老人が、人里離れた場所で一人寂しく暮らしていました。

 老人の唯一の宝物は、亡き妻が大切に手入れをしていた花畑。

 一面に広がる美しい花畑は、孤独な老人の良き話し相手でした。

 

 ある夏、日照りが続き干ばつとなり、花畑がみるみる枯れてゆきました。

 まるで、妻との思い出が一つーつ消えていくような辛さを感じながら、老人にはなすすべがありませんでした。

 

 次第に、干ばつのせいで老人は自分の飲み水にも困るようになっていきました。

 しかし彼は、最後の一杯だった水を半分飲み、残りの半分を花畑に撒きました。

 まるで、愛する妻に分け与えるように。

 

 季節が変わり、ようやく雨が降り始めました。

 花畑の真ん中で、朽ちて骨となった老人を囲むように、再び花が咲き始めました。

 花は、墓のない老人のために、冬が来ても咲き誇り続けましたとさ。

 

刺殺の剣

 目の前から一人の女性が歩いてきた。

 女の被っていた笠からは、とても綺麗な黒髪が覗いて見えた。

 

 下駄を履いているのだろうか、歩くたびに心地よい音を響かせる。

 その女の佇まいに、思わず見惚れてしまいそうだ。

 

 ふと、女が笠で隠した顔を上げたので目が合ってしまった。

 これも何かの縁ではないかと、私は声をかけることにした。

 

 すれ違うその刹那、女が隠し持っていた刃が腹に突き刺さる。

 刀身から伝い零れる赤い雫は、地面に綺麗な模様を描いた。

 

白鉄の小剣

 はるか昔、光の神が6つの武器を創り、世界の諸所に隠したという伝承がある。

 その武器の一つである金色に輝く剣は、深い海の底に眠ると言われ、多くの海賊達が挑んだが見つけられなかった。

 

 海の近くの小さな村に、釣り好きの男がいた。

 男が海で釣った魚を持ち帰ると、妻が自慢の料理の腕をふるった。

 その日、男は見たこともない大きな魚を釣り上げて家に帰った。

 

 その魚の鱗は、長く生きてきたことを物語る硬さだった。

 妻がやっとのことでその魚をさばくと、腹から曇った剣が出てきた。

 男と妻は、焼いたり蒸したり煮たりして魚を堪能し、剣は海に捨てた。

 

 剣は、海の底へと沈んでいった。

 しかし、底に届く直前、剣は再び大きな魚に飲み込まれてしまったのである。

 この剣は、本当の価値に気づかれないまま、今もなお魚の腹の中で大海を巡っている。

 

黒鉄の小剣

 カでは駄目なんだ。

 平和な世を築くには、力に頼るわけにはいかない。

 

 カで圧し潰しては、新たな争いの種になる。

 復讐、報復。血で血を洗う争いが、未来永劫繰り返されてしまう。

 

 だから、恐怖を。余計な気など起こさぬように。

 震え、痺れ、竦み上がらせ、その心を縛る呪いを。

 

 王として、もう誰にも血を流させる訳にはいかない。

 これで、これで良い筈なんだ……そうだろ……父さん……?

 

近代軍記ノ弐

 ある軍に、ヒョロヒョロに痩せた炊事班の青年がいた。

 青年は最前線で戦うことを望んで入隊したが、見るからに体格が戦闘向きではなかった。

 炊事班へ配属され、来る日も来る日も豆を煮続けた。

 

 朝も昼も夜も、青年は野菜を洗い、皮を剥き、一口大に切り、煮込み、炒め、蒸し、肉を焼き続けた。

 そして、戦線で誇らしく負傷してキャンプへ戻ってくる仲間達に、食事を提供し続けた。

 

 ある日キャンプが襲撃された。

 仲間達は殺され、青年は銃で脅された―――「作戦を吐け」。

 しかし、何しろ野菜を切ってばかりいたから、作戦など知らないのだ。

 知っているのはレシピだけだ。

 

 敵軍の捕虜となった青年は、またも炊事係をさせられることとなった。

 しかし青年は抵抗しなかった。

 剣の代わりに包丁を持つほうが自分に向いていると、とっくに気づいていたのだ。天職だった。

 

カイネの剣

 彼女は戦っていた。

 殴打にも似た斬撃が、敵に何度も繰り返される。

 やがて剣が折れ、一振りの刃になったとしても。

 

 彼女は苦しんでいた。

 穢れた身体を晒しながら生きることを。

 心を蝕む思い出を抱え続けることを。

 

 彼女は悟っていた。

 復讐も、苦悩も、無意味と知って目を閉じる。

 せめて夢の中だけは幸福でありたいと。

 

 しかし、彼女は抗い続けた。

 無価値で、何も残らないことを知っても。

 剣をひたすら振るった。闇の中を、彷徨いながら。

 

機械生命体の剣

 人類を理解することは難しい。

 ならば、人類を模して造られたというアンドロイドはどうだろうか。

 ワタシは人類を理解するために、まずはアンドロイドについての研究を始めた。

 

 彼らの外見やその行動については、過去の記録にある人類のそれと合致する。

 ただ、異なる点も多い。

 彼らには人間の三大欲求、すなわち食欲、睡眠欲、性欲と呼ばれるものが存在しない。

 

 身体の不調はバーツの交換で解決できるし、アタッチメントによる身体能力の拡張も可能だろう。

 人類より優れているように思うが、何故か彼らは人類に憧れを抱いているようだ。

 不可解極まりない。

 

 ワタシには結局、アンドロイドを理解することもできないようだ。

 何故ならワタシもまた、彼らのその不可解さ、不完全さに強く惹かれ、その姿に憧れてしまっているからだ。

 

王宮騎士の舞踏

 あるところに剣による舞踏を生業にする傭兵がいた。

 彼の華麗な舞は、あるときは敵の兵を魅了し、またあるときは味方を鼓舞したり、特別な力を備えていたという。

 

 

 

 

 

百獣の剣

 むかしむかしある王国に、とても幼い王様がいました。

 政務は頭の良い大臣たちがしてくれるので、 幼い王様の仕事は玉座に座って笑顔でいることだけ。

 そんな王様には3つの願いごとがありました。

 

 

 

 

 

殺シノ所以

 私は、依頼を受けて標的を殺す、殺人者だった。

 ただ自分の腕だけを信じ、それ以外のものは信じない。

 そういう人生以外、選択肢がなかったのだ。

 

 

 

 

 

白の契約

 空に見放された気がした。

 太陽は容赦なく、血に濡れた体を照らす。

 今はただ、降り止まない雨に焦がれている。

 

 鳥に蔑まれた気がした。

 それでもこの双脚は、大地を駆け続ける。

 行きたい場所なんて、どこにもないのに。

 

 花に笑われた気がした。

 何も考えずに済むように、ただ命令を処理する。

 恥じ入る必要も、権利も、選択も感情もないのだから。

 

 君に呼ばれた気がした。

 許されるなら、願わせてほしい。彼の幸せを。

 これが、私の最期の記憶。

 

神秘石の剣

 深い、深い、海の底でとある鉱石が発見される。

 その鉱石は不思議な光を放っており、発見した男はたいそう喜んで家に持ち帰ることにした。

 

 

 

 

 

鉄パイプ

 あれからどれだけの月日が流れただろう。今はいったい、何月何日なのか。

 この姿になって暫くは数えていたが、それももう忘れてしまった。

 

 

 

 

 

黒の契約

 持て余していたのは、システムで制御されているはずの思考だった。

「●●」と呼ばれるそれに、いつだって僕達は振り回されていた。

 

 全てを知り尽くしたいという衝動。

 割り当てられた性能以上の好奇心は、人間が言うところの恋にも愛にも似ていた。

 

 そう、その命令の実行はエラーなんかじゃなかった。

 大丈夫、僕は解っているから、キミは泣かなくていいんだ。

 

 だって、プログラム通りの予定調和を、二人に下された悲しい運命と呼ぶことなんてできないんだから。

 

無法者ノ匕首

 誰もが恐れる大悪党になることを夢見る青年がいた。

 連日、青年は悪事を働くため街へと繰り出す。

「今日も元気に悪さして、早く立派な大悪党になるぞ」

 

 

 

 

 

亡失ノ虚空

 最近になって、人を殺すたびに考えるようになった。

 この人間は今日までどんな人生を歩んできたのだろう。

 ワタシには記憶がない。身体を弄繰り回され、人を殺すことを仕事にする前の記憶……。

 いつしかワタシは、それを取り戻したいと思うようになっていた。

 

 普通の生活とはなんだろう、家族がいて、愛する人がいて、夢がある。

 それらは、ワタシをどんな気持ちにさせるんだろう。それが知りたかった。

 今の力があれば、過去のワタシを奪った奴らから、それを取り戻すこともできるかもしれない。

 

 ワタシは速やかに、計画を実行に移した。

 自らが与えたカに、自らが殺されるというのはどんな気持ちだろう。

 ワタシは目の前に転がる死体が憐れに見えた。

 血に染まった白衣を漁り、目当ての情報を手に入れる。もうすぐワタシの過去を取り戻せる……。

 

 ワタシの目の前に展開されるデータ。

 それは、目の前で死んでいるこの男が、ワタシの恋人だと告げている。

 死体の瞳をのぞき込むが、濁った水晶のようなそれは、何も与えてはくれなかった。

 それからワタシは、また、何も考えずに人を殺すようになった。

 

赤血の腰鉈

 かつて存在したという罪深き戦闘部隊、『赤鬼』。

 それは人の世に居場所のない大罪人を活用する、血塗られた部隊。

 凶器としての価値を認められ、彼等はその縛めから解き放たれる。

 

 

 

 

 

純然たる大義

 本当なら、逃げ出してしまいたかった 。 でもそれはできない。

 自分の命と他人の命を天秤に乗せたとき、針はどんな風に揺れる?

 その結果を、軟弱だと言うか、当然だと言うか。

 誰か、その答えを知っている人がいたら、教えてほしい。

 

 俺は剣を握る。その手は震えていた。

 こんなことで、任務が果たせるというのだろうか。

 でも、これはきっと、任務を嫌がる体の方が、正しいのだろう。

 たぶん任務に逆らえない俺の精神の方が、間違っているのだから。

 

 

 

 

水骸の憎刃

 お、さすがは旦那。お目が高いねぇ。

 そいつぁ今朝入ったいわくつきの代物でね。

 その昔、皆殺しにされた一族から生まれたと言われる剣さ。

 

 その一族はなんと水の中で文明を築いたそうだ。

 奴らは特別な身体でね、死ぬ時に全身が朽ち果てるんだ。

 だがこの剣みたいに、身体の一部分が武器となって残るらしい。

 

 これで人の手が入っていない天然物だってんだから驚いたもんさ。

 武器としてだけでなく、美術的価値も相当高くてな。

 裏じゃ昔から高値で取引され、殺し合いの争いが起きるらしい。

 

 うん? ゲヘヘヘさすが旦那だなぁ、察しがいい。

 この一族を皆殺ししたのは俺達人間のご先祖様よ。

 いつか俺達が見殺しにされても文句は言えねぇなあ。

 

古の覇王

 とある遺跡の奥底に、不老不死の力を持った剣が隠されているらしい。

 そんな噂を聞いた多くの冒険者が旅立ったが、誰一人として戻ってはこなかった。

 ある時、名のある旅団が遺跡へ向かうという話を聞き、その剣を一目見たい私は同行したいと願い出た。

 

 幾重にも張り巡らされた罠を潜り抜けて最深部へたどり着くと、一人の番人が待っていた。

 辺りには無数の屍が転がっているのが見える。

 番人を倒すことができれば剣が手に入るが、負ければ屍と化した冒険者と同じ末路を辿る、そういうことだろう。

 

 一人の剣が番人の首を捉えた。しかし、番人は起き上がり襲い掛かってくる。

 番人は剣から不老不死の力を得ていたのだ。

 旅団の冒険者達は次々とやられ始め、恐ろしくなった私はあろうことかその場から一目散に逃げ出してしまった。それが十年前の出来事だ。

 

 彼はかつてこの地を治めた王の亡き姿。

 剣の力を求めて自国を滅亡させてしまった王は、この地の誰かが同じ過ちを犯さぬようにと、自らを不死の身体にして剣を守り続けていることが分かった。

 今後、剣を求める者が現れぬことを願い、この手記を残す―――

 

塗炭の剣

 戸惑いを無くしたのはいつからか。

 迷いを無くしたのはいつからか。

 砂と骨と瓦礫だらけのこの場所で、 私は過去に思いを馳せた。

 

「生きるために」そう言い聞かせ、

「取り戻すために」そう思い込み、

 それでも私がやってきたことは、間違いなく人殺しだった。

 

 この分厚い装甲が守っていたものは、本当は、私の心だったのかもしれない。

 崩壊した街を眺めながら、ここにかつてあった風景を想像した。

 

 私の全てを奪っていったあの殺人者達と、今の私。

 そこにどれくらいの違いがある?

 いや、なにもない。それでも……。

 私はこの剣に、全ての敵を殺すと誓った。

 

別離の剣

 戦場においては、人は人でなく、ただの道具として扱われる。

 その価値は、壊れれば捨てられる、軍刀や銃器と変わらない。

 それなのに、どうして俺はここで感情を持って、立ち尽くし、 玄関で手を振る家族の笑顔を思い出したりしているのだろう。

 

 

 

 

 

四〇式戦術刀

 ※※CONFIDENDIAL※※Y..T.D dept members only
 -index-
 Ⅰ.The survey of machine cores
 -------------------------------- P.009

 

 Ⅱ. Approximation structure to
 plant cells ------------P.113

 

 

 

 

巨人の剣

 その巨人は身体に不釣合いなほど器用だった。

 人間用に作られた小さな剣を巧みに操り、数百を超える軍勢を斬り伏せたそうだ。

 

 その巨人は器用さに不釣合いなほど豪快だった。

 牛をまるごと食らい、酒を樽ごと飲み干す姿は、見るもの全てを驚かせたそうだ。

 

 

 

 

黒鳥ノ短剣

 ある国で暮らす青年は、国同士の紛争に巻き込まれる。

 彼は妻も生まれたばかりの赤ん坊も失い、絶望の淵に立っていた。

 そんな彼を助けてくれたのは、彼と同じ境遇の人間が集まる暗殺者集団だった。

 

 それから数年後、青年は暗殺者集団の頭領となった。

 彼は新たな紛争を企てている主犯格たちの抹殺に動く。

 奴らを始末すれば、自分と同じ悲劇に見舞われる人が少しでも減るはずだと信じて。

 

 任務を完了し、青年は血に濡れた剣を下ろす。

 その場を離れようとした時、背後から少年の声が聞こえた。

 両親を殺された少年の、嗚咽とも悲鳴ともつかない叫び声が部屋に響き渡る。

 

 暗殺者集団の元に、一人の少年が連れられてきた。

 その少年は、何者かによって親を殺されてしまったらしい。

 復讐心に燃える少年の手には、漆黒の羽根が一枚だけ握りしめられていた。

 

拷奪の裂刑

 今日の肉は固い。

 筋肉質で筋張ってしまっているな。

 もう少し栄養バランスを考えたほうがいい。

 

 今日の肉は脂が多い。

 クドい味だ、食感も悪い。

 運動が足りていない証拠だ。

 

 今日の肉は味が薄い。

 熟成が足りていないな。

 若ければいいってものではないのだ。

 

 父親、母親、子供。こいつらは私を満足させる肉ではなかった。

 だが、母親の腹には卵があるらしい。

 ああ、楽しみだ。

 その卵は一体どんな味で私を楽しませてくれるのだろうか!

 

ヨルハ制式鋼刀

 敵通信の傍受に成功。

 アンドロイド達はこの「ラジオ」なるものを熱心に聞いているようダ。

 我々機械生命体がこの戦争に勝利するための、有益な情報が得られるかもしれなイ。

 ワタシは傍受を続けル。

 

 「ラジオパーソナリティ」なる者が戦術等の指示をしている様子はなイ。

 ただ陽気に、励ましの言葉や労いの言葉をかけるだけダ。

 有益な情報は得られないが、ワタシは「ラジオ」を聞き続けていル。

 

 大規模な戦闘があり、「ラジオ」に「お便り」が届かなくなっタ。

「ラジオパーソナリティ」は「リスナー」がいないのではと、酷く不安そうダ。

 大丈夫。「リスナー」はいル。

 ワタシが、聴いていル。

 

 黒いアンドロイドが単身、攻め込んできタ。

 何かをブツブツ唱えながら、我々を破壊していク。

 そしてワタシに剣を突き立て、高らかに笑っタ。

 その笑声は「ラジオ」で聴き続けた、あの声だっタ。

 

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