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【メタリックチャイルド】攻略 レコーDの詳細一覧

METALLIC CHILD(メタリックチャイルド)の攻略 レコーDの詳細一覧です。

※レコーD、及びファンアートの解放は、ステージ攻略に失敗しロビーに戻るのがトリガーっぽいので注意

 

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アイリーン・研究チーム

 File.1 / ロナのコア

今でもロナにコアを
インストールしてやれなかったのが心に残っている。

コアを並列に連結し、エネルギーを増幅させる
コアコネクトシステムをロナにインストールしたのは
良かったものの、まさか設計ミスで永久的なコアが
インストールできなくなるとは思わなくて。

全部私の未熟さが招いたミスよ。

その代わりに、ロナのためだけに、コアを作ろうと計画しているの。
時間は少しかかるだろうけど、きっとロナは喜んでくれるはずだわ。

 File.2 / 管理者の心得

ローカス所長がまた研究に関する報告書を要請したわ。
何をそこまで監視しようとしているんだか。

ローカス所長は管理者としての能力は素晴らしいと思う。
ここの科学者たちは特に偏屈な人が多いから管理が難しそうだけど
かなり安定した運営がされている方だと思う。

でも、そんな偏屈な奴らを監視するために
何の問題もない科学者たちも一緒に報告書だのなんだの
圧迫されるのは気に入らない。

…待って…まさか私もその偏屈な科学者の1人なの!?

 File.3 / 定期メンテナンス

ロナは毎週月曜日に定期メンテナンスを行っている。

全般的な状態から内部OSシステムのバグチェック、
そして記憶メモリーチェック。

ロナのすべての出来事はこの記憶メモリーに記録される。
人間と違い、ロナの記憶は消されたり忘れられたりしない。
これは一見とても恵まれた能力のように見えるけど、
この宇宙船の中では違うみたい。

ロナを乱暴に扱う人たちの記録を、私は週に1回は見ている。
これをロナは毎日感じているんだね。

ロナ…。守ってあげられなくてごめんね。

 File.4 / 思わぬ縁

乗組員による情報漏えいでプロジェクト・メタリックチャイルドが
世の中に知れ渡った時には本当に大変だった。
二度と経験したくない騒動だったわ。

情報を漏らした犯人探しで、ローカス所長によって長い聴取を受け…
ライフストリーム号の広告のためだって後から知らされたけど…
もう本当大変だったよ。

でも、そんな中でも良いことがあった。それはエイデン博士の合流。
真面目にA.Iを研究しようとするなかなか才能のある研究者で、
ロナにもとても親切だったからプロジェクトに合流させた。

それでも聴取は本当に疲れた…。

 File.5 / 宝箱

仕事中に眠ってしまった。
ロナが私を起こしてくれたから、やっと起きることができた。

最近研究室で寝てることが多くて心配してくれてるみたい。
大丈夫って言おうとした時、ロナが私に何かを渡してくれた。

色鮮やかなあめ玉だった。

観光で宇宙船に来た一人の子どもからもらったみたい。
あめ玉を1つ口の中に入れ、残りは箱の中に入れておいた。
大切な宝物にするね。

そう言うとロナがにっこりと笑った。私も満面の笑顔で答えた。

 File.6 / お気に入りの童話

私はピノキオという小説が好きだ。
木工職人が作った木彫りの人形に魂が宿って動き始め、
そこから繰り広げられる素敵な物語。

だけど、木彫りの人形ということでイジメられてきたピノキオが
人間になって幸せになりましたという最後のオチは大嫌いよ。

私が作者だったらピノキオはそのまま木彫りの人形のままで、
ピノキオをイジメた村人が不幸になって物語を終わらせるわ。

…それだと童話じゃないの!?

 File.7 / 信じること

科学者に大事なものは何だろう?
私は最後まで信じることだと思うわ。

科学者が自分の信じるものを最後まで追い求めてなかったら、
今のような科学の発展は成し遂げられてないと思うの。

プロジェクト・メタリックチャイルドが開始した当初は、
誰もがここまでレベル高いA.Iは実現不可能だと言っていたけど、
私には見えていたの。
人間と同じ思考を持ったA.Iが誕生するところがね。

おかげで私は人生最高の子に出会うことができたわ。

 File.8 / 迷信を気にする研究員

研究員だからといって、
みんなオカルトや宗教、迷信を信じないということは無い。
むしろ、研究や実験を行う前に、誰よりも気にすることもあるの。

4時44分にはわざと時計を見ないようにするとか、
重要な実験の前には床の線を踏まないように気を付けるとか、
はしごの下は通らないとか…

ところで、いきなりエイデンが今日は13日の金曜日だから
今日進行する予定だったコアエネルギーの電力テストのような
危険なテストは明日に延期するのはダメですかと聞いてきた。

エイデン、あんたまで…

 File.9 / 童話がいつもハッピーエンドの理由

子どもにいつもハッピーエンドの
童話ばかり聞かせる理由が少しはわかった気がした。

これから生きていく、残酷な現実の世界で
きっとたくさんの失敗や挫折を経験するだろう。

だから子どものうちは、
それらを乗り越えた先の幸せや、
希望を見せてあげたいからじゃないかな。

いつか転んだ時、
その幸せや希望を思い出して立ち上がれるように。

 File.10 / 使い勝手によって決められる価値

私はロボット工学と研究が面白いし楽しいの。
でも私は研究のためだけに生まれた存在ではないわ。

人はずっと自分が、
何をすべきかを考えないといけないと思う。
私はロナにもこんな悩み事ができてほしい。
何にでもなれる、人の可能性をこの子にも持ってほしい。

人々がロボットの機能に何を期待しているか
私も分かってはいるけれど、使い勝手で価値が決められる世界は
悲しすぎると思うから。

 

エイデン・研究チーム

 File.11 / A.Iの可能性

ロナの成長を見守りながら研究者としてのプライドを感じる。

メタリックチャイルドは
道具として使う目的から外れた最初のロボットだ。
その中でもロナは頭一つ抜けた存在だと思う。
不安と恐怖を感じる人を非難したくはないけど、
もっとちゃんと見てほしい。

これから新しい時代の幕が開かれようとしてるから。

 File.12 / ロナの髪型

アイリーン博士がヘアアクセサリーをいっぱい持ってきた。
博士は慌てるロナを座らせて、ロナの髪でいろんな髪型を試した。

ハーフアップ、ツインテール、おさげヘア…

いつの間にかパンも、博士と一緒にどの髪型が
ロナに一番似合うか話し合っていた。
ロナが目で助けを求めた。

ごねんね、ロナ…
私には止められないんだ……。

 File.13 / テストと教育

ロナは本当に繊細に作られている。
アイリーン博士がデータを見せてくれたのだが、
信じられないくらいの施行テストの回数だ。

面白いところはすべてがプログラミングで
できたわけではないということだ。

実際アイリーン博士は
人間の子を教育するかのようにロナに学習させる。
ロナはそれを学び、人間のように試し、疑問に思うことを聞く。

ロナのこのような姿はただ人間のマネをするまがい物にすぎないと
言う人もいるけど、この結果は実に素晴らしいものだ。
まだ未熟な私もそんなロナをみると、行動に気を付けるようになる。

 File.14 / 揺らぐ決心

目標に向かって自信をもって進んでいけば
誰が何と言おうが耐えられると思った。

でも、他のチームからプロジェクト・メタリックチャイルドを
軽蔑されているのを感じていたら、胸が苦しくなってきた。

他のチームとの交流もどんどん減っていき
それなりに親しかった研究員も、私との連絡を避けている。
大体数の人たちから疎まれるのは想像以上に苦しい。

アイリーン博士はロナとパンがいるから
大丈夫だと言っていたけれど、
私は…この先うまくやっていく自信が無い。

 File.15 / 恩知らず

偶然聞いた話だけど、多くの研究員が
様々な研究事業に参加しているようだ。

どうやら外部から資金を持ってこないといけないほどの
赤字が続くことに、とても心配しているようだった。

そして予算に対する心配が大きくなるほど
私とアイリーン博士に冷たい態度をとる。
他の研究員たちが稼いできたお金を
無駄遣いしながらそんなことは気にも掛けず、
ただ好きな研究を続けるだけの奴らだと考えているだろう。

それがあながち間違ってないから、余計に辛い。

 File.16 / 心の成長

ロナの感情的な機能は成長するように設計されている。
この成長が遅れたり急すぎたりして私とアイリーン博士が
制御できなくなることを事前に防ぐために、
段階ごとの検査と定期メンテナンスがある。

アイリーン博士と私は
毎日のように感情の変化をチェックしている。
ロナの感情変化に興味を示しそれを補う。
良いことであれ悪いことであれ。

一瞬ロナがすごく羨ましく思えた。

 File.17 / 空気が読めないアイリーン博士

キャサリン博士がアイリーン博士を嫌っているのは
誰でも知っているが、アイリーン博士本人は興味がないようだ。

あるいはキャサリン博士が自分のことを好きだとか
それなりに親しい関係だと思っているかもしれない。
声をかけてくれるのはキャサリン博士だけだから。

時々キャサリン博士が気の毒に思える時があり、
何だか私の方が気まずくなる。

うちの博士が空気を読めず、申し訳ございません……。

 File.18 / アイリーン博士のオマケ

「エイデン?アイリーン博士のオマケでしょ?」
私を良く思わない人がいるのは前から知っていた。
噂は否定する間もなく大きくなった。

私に弁解するチャンスは無かった。
私は博士の隣でうまい汁を吸う無能扱いで、
私の研究や論文について疑問に思う人もいた。

私がプロジェクトから降りて、
一人で研究を始めたら正しく評価されるだろうか?
わからない。誰かが私をあざ笑う声だけが頭の中に鳴り響く。

 File.19 / 子ども向けテレビ番組

地球で流行っている子ども向けテレビ番組をロナに見せてあげた。
最初はよくわからない顔をしていたが、すぐに好きになったようだ。

パンは自分は子供じゃないから見ないと言っていたけど、
最近はロナを守らないといけないと言って一緒に番組を見ている。
何度も番組の主題歌を聞いて耳に残ったからか、
私もいつの間にか口ずさむようになった。

アイリーン博士も何気なく歌ったりしている………。
明日からは違う番組にしよう。

 File.20 / マッドサイエンティスト?

以前は他の研究室でこっちに来ないかと勧誘されていたけれど、
最近はそれさえもなくなった。

すでにアイリーン博士と一緒にモラルのない、
マッドサイエンティスト扱いされているだろうな。

私と博士がまた良い評判を取り戻すのは簡単だ。
プロジェクト・メタリックチャイルドを諦めればいい。

そうなった場合、ロナは?
私たちは自分たちの子を捨てることになるのか?
それともただ機械を捨てることになるのか?

 

ローカス・研究所長

 File.21 / 資本主義

ライフストリーム号は
自由な働き方と最先端科学の象徴のように見られている。

しかし、その実態は投資と資本が敷いた
レールの上を走る列車のようだ。
研究は管理され、金にならない研究とその成果は無視される。
我輩はここで人間の跳躍と限界を目撃する。

アイリーン博士のように輝かしい研究で成果を出しても、
金にならなかったら見捨てられる。

それなら、最初から金になる研究だけ指示したほうが
良いのではないかと思ってしまう。

 File.22 / 節約キャンペーン

ライフストリーム号の乗組員たちの勤務態度には失望した。

もちろん業務に関しては申し分ない。
全員が各分野を代表して、
この宇宙に来ているプロフェッショナルだから。

しかし、水や電気を大量に無駄遣いしている。
コストを抑えるという意識が足りてないようだ。

宇宙船の運営費が宇宙でいきなり湧いて出るものでもあるまいし、
総務チームに節約キャンペーンを提案してみよう。

 File.23 / ドキュメンタリー用インタビュー

ドキュメンタリーに入る自己紹介か。
ふむ、良い。手短に済まそう。

我輩は小さい頃からとても頭が良かった。
だからといってすべてのことが思い通りにはいかなかった。
我輩が若い頃の宇宙は、簡単に来られる場所ではなかった。
多くの苦難をひたすら乗り越えてきた。
粘り強く耐えるのはどの時代でも重要ではないか。
最近の若者たちも、もっと情熱と根性を持って……

うん?オジロ君?
いつ出て行ったんだ?

 File.24 / 研究と畑仕事

今回の株主総会で研究予算を例年より減らそうとの意見が出た。

何とか食い止めたが、成果を出せていない研究チームに対して
不満を感じる世論が形成されているようだ。

しかし研究とは畑仕事のように、もともと不毛の地を懸命に耕し、
作物を植え、成長してからこそ実の収穫ができる。

目先の利益しか見えず、研究員をただコインを入れると商品が出る
自販機のように扱う浅はかな奴らにはため息がでる。

 File.25 / 金の亡者

アイリーン博士が我輩のことを金の亡者と罵っていた。
みんなが幸せになる研究より
金になる研究を優先していると。

しかし、金がなければ何も始まらない。
誰かの安全と未来の発展は金で買えるものだ。
この宇宙船を守ることも、結局金がないと不可能だ。
我輩がしたことは間違っていない。

…ヒゲのせいで印象がよくないのか?

 File.26 / 時が来るのを待つ

プロジェクト・メタリックチャイルドは早すぎる研究だった。
しかし、プロジェクトが拡大されなかったからと言って
意味が無いわけではない。

メタリックチャイルドとアイリーン博士が有名になった後、
宇宙船で進行している他のプロジェクトも一緒に注目された。
いつか資金調達と投資が軌道に乗れば、チャンスは来るはずだ。

アイリーン博士は納得しないだろうけど、
その時が来るのを待ってもらうのも
この宇宙船の責任者である私の仕事だ。

 File.27 / サプライズ

研究チームからサプライズでプレゼントが届いた。
色鮮やかないくつかの飴だった。

こんなものを貰うことに慣れていないが、
研究員たちが我輩を気にかけてくれているのを知って
非常にうれしかった。
まず、白くて柔らかそうな飴を口の中に入れた。
すると轟音とともに飴が口の中から飛び出していった。

飴の下に書いてあったメモを
読まなかった我輩のミスだった。
情報収集を行うテスト用の超小型ドローンか…ハハ……。

 File.28 / 段階的成長の重要性

科学は我々の想像より遥かに多くのものを成し遂げられるが、
社会と資源の制限によって成長が鈍化することがある。
階段のように一段一段上り、
その場所を開拓してから次の段階へ行かなくてはならない。

プロジェクト・メタリックチャイルドは今、その壁にぶつかった。

ゴッホや、ニーチェと同じくあまりにも早すぎた。
残念ながら、結局我々は輝かしい未来を描きながら
ゆっくりと段階を一段一段登っていくしかない。

 File.29 / 望まぬ結果

乗組員による情報漏えいにより
プロジェクト・メタリックチャイルドに関する
世間の注目度も随分高くなった。

望ましくないタイミングでプロジェクトが公開されたが、
図らずもプロジェクトの宣伝として良い機会となった。
科学者たちは1人で研究していると思われがちだが、
多くのスポンサーで運営されているため、人気も必要だ。

アイリーン博士のインタビューをいくつか用意したが、
その効果は抜群だった。
しかし、アイリーン博士はそのような外部への露出を嫌っていて、
他の科学者たちはそうやってスポットライトを浴びる
アイリーン博士に嫉妬し始めた。

誰も幸せにならない最悪の結果となった。
研究所の資金には余裕ができたが、雰囲気は悪くなる一方だ。

 File.30 / それをどう使うか

兵器があるからといって戦争が始まるわけではない。
そこにナイフがあるとしても、それを振るうのは人間だ。
犯罪者は銃を持っているが、警察もまた銃を持つ。

我々が開発したロボットの使い道は、結局人間を信じるしかない。
そして、使われ方について考える必要もないのだ。

アイリーン博士は人間に不信感を持ちすぎるあまり兵器の開発に
かなり否定的な反応を示す。キャサリンとは真逆の考えだ。

 

キャサリン・研究チーム

 File.31 / ただの夢で終わらせないで

結局、夢とは想定し得る状況を頭の中で想像をめぐらす
思考実験みたいな現象なわけ。
夢だからといって無視してはいけないってこと。
 
起承転結が明解な夢だったり、
結果と過程がしっかり表されている時もあるから。
 
要は、私が言いたいのは、どこかの超お金持ちが
私のプロジェクトに支援金をたんまり出してくれるのも、
ただの夢と思っちゃいけないってことよ。

 File.32 / 破天荒な助手

助手を変えたい。
ああ見えてもロボットに詳しく、
実力もあることは知ってる。だけど……

変なアニメを資料として持ち込んできたり、こっそりロボットの腕を
もう一本増やそうとしたり、この前提出した企画書には
ロボットの足の部品が作りかけの状態だったので聞いてみたら…
「足なんてただの飾りじゃないですか!」だってよ。

はぁ…私の仕事はロボットの開発であって、
助手の見張りじゃないんだけどな。

 File.33 / トースターはパンを焼かない

ロボットに感情を持たせるのは正気では思いつかない発想だわ。
アイリーンは自分が映画や漫画の主人公にでもなったつもりだけど、
ロボットは人間のために作られたものよ。

ある日、オーブントースターが
「私はトーストを焼きたくありません。
私を愛し、大切にしてください。」と言い出したら
人々が「なるほど、今までごめんね。」とでも言うと思う?

自分の使い方を拒否するロボットは科学の進歩じゃない。
ただの致命的なバグだわ!

 File.34 / 人間にできないこと

ロボットを作るのは人間の欲望を探求するのと同じ。
人間にはできないものを作るのよ。

強靭な体、強力な武器、無慈悲な決断。
実際人間が持つと、他人から恐れられるもの。
人間が人間として存在するために、
ロボットは人間の闇となるの。

そんなロボットをそのまま社会に放てばパニックになるのよ。
それを調整していくこと、
それが私のような研究員がすべきことだわ。

 File.35 / ロボットに顔は必要?

荒れた地形で探索と戦闘が可能なロボットをデザインしていたけど
ルーシーが「顔は作らないの?」と聞いてきた。めんどくさいわね。

なんでロボットに顔が必要なわけ?
カメラは別のところに付ければいいじゃない。

正直ロボットを二足歩行で作るのも気に入らないわ。
二足歩行にする理由が特にないもの。
キャタピラの安定性と効率を、
二足歩行で実現するのは絶対無理。

その中でもロボットに顔を作るのは贅沢な話よ。
どうしても必要って言うなら、メインカメラ用で目1つくらいは
作ってあげてもいいけどね。

 File.36 / 空の容器が一番大きな音を立てる

今回作ったテストロボットのテスト結果がなかなか良い。

維持費用を節約して、安全性を補完すれば
素敵な物が完成するだろうね。

こういう時はアイリーンが羨ましいわ。
誰かが内部の極秘ファイルを1つ流出させたおかげでどこへ行っても
天才ロボット博士と崇められるからね。

まあ、中身が空っぽの人ほどよくしゃべるっていうし、
結局は成果も出せず、無視されてるじゃない。

私は違う。誰も否定できない実績を出して認められるから。

 File.37 / 研究成果報告書、期限は明後日まで

アイリーンの研究成果定期報告書を手に入れた。
別にアイリーンのことについて知りたいわけじゃなく、
ただ見るだけよ。

やっぱり大した内容ではなかったわね。
ふん、おままごとなんかやってる奴だし、そんなもんでしょ…。

助手のルーシーにもロボットばかりいじってないで、
テスト機を持ってくるように言った。
問題を1つや2つ直して報告書を提出するわ。

ルーシーがいきなりどうしたのかと聞いてきて、
睨みつけたら大人しく引き下がった。
私の言うことに素直に従う助手が必要だ。

 File.38 / 優れていることの証明

私がアイリーンより劣っていると
裏でこそこそと言ってる奴らがいるのは知っている。

負け犬同然の奴らが言ってることなど聞く価値もないけど、
私がアイリーンより劣っているという事だけは認められない。

実体のない噂も見かけだけの天才も全部踏みにじってやる。
技術や利益、すべての分野で勝ってやる。
ロナかルナか知らないけど、
そいつよりすごいロボットを作ればいいだけよ。

 File.39 / ピコッピコッ

研究者の趣味が何か知ってる?
今やっているプロジェクトとは全く関係のない研究なの。

忙しいときにくだらないものを研究することほど楽しいものはない。
それを意外な分野へ役立てるのを知ったときもなかなか楽しいわ。

以前、助手のルーシーが他のことで忙しかった時、
ピコピコハンマーを振る機械を作ったんだけど、
思ったよりできがいいのよ。

ピコッピコッと音を聞くとストレス解消にもなるしね。

 File.40 / 火力不足

結論から言うと、火力が足りないってこと。

ある政治家から
自宅で使う護身用ロボットの依頼を受けて進行中だけど、
戦闘型の割には火力が足りないって意見をもらった。

研究所内部での規則上、一定レベル以上の武器は
内部に持ち込めない。
でも、もうそんな規則なんか知るか!

私は知り合いを通して、スライという武器商人と連絡を取り、
宇宙船内で密かに取引をする契約をした。
この護身用ロボットに設置すれば、あの依頼人も満足するだろうね。

ところで…急に緊急アラームが鳴り始めた。
なにかあったのかしら?

 

トレヴァン・研究チーム

 File.41 /小さな光

隕石に付着していたコケが
完全に定着し増殖した。
この数日間、湿気と気温の調節をし続けた結果である。

まるで月に初めて足を付けたように革命的なことだ。
この小さな命の脈動から俺は可能性に満ちた未来を覗けるのだ!

ある人はこのコケが宇宙人の餌だと噂をまき散らしているけど、
宇宙人が岩に生えたコケを食べるだと?
なぜ宇宙人は変な物を食べると考えてるんだ?

 File.42 / 人類が生態系に及ぼす影響

俺たちは一つの生命体として一つの環境の中で生まれる。
生態系に属する一員であると同時に、
その生態系を変化させる一員でもあるんだ。

人間は環境に驚くほど甚大な影響を及ぼしているが、
こんな時こそ初心に帰るときだと思う。
俺たちの最初の足跡を再度刻み、もう一度歴史を回想すること!

大げさか?たまにはこういうのも悪くないだろ?

 File.43 / 植木鉢とはわけが違うんだぞ!

誰かがこの隕石は植木鉢同然だと言っていた。
無知な興味で俺の胸は刃物でえぐられたように傷ついた。

草花を育てるのももちろん素敵で素晴らしいことだが、
隕石の研究とは大きな違いがある。
専門知識のもとに育てるのが園芸、
未知のうごめきを探求し保存しながら
調査するのが隕石研究だ。

あ、共通点があった。
どちらも愛をもって接しなければ失敗する点だ。

 File.44 / コーヒーとベーグル

太陽を迎える代わりに、
ライフストリーム号に届く数多くの星の明かりの中で朝を迎えた。

カプセルコーヒーを入れる間、ベーグルを焼き、
愛しき隕石を眺めながら食べる喜びを満喫する日常。
観察と記録がこの生態系の歴史になるという恍惚感を得られる研究。
宇宙に来てよかった。

期待はしてたけど、
ここまでやりがいを感じながら生きられるとはね。
今日は特にコーヒーの香りが良かった。良い一日になりそうだ。

 File.45 / 新種のウイルス

新種のウイルスの資料が届いた。
最近地球で、渡り鳥に広まっているウイルスだが、
人間に脅威となるものか検討してほしいと後輩から頼まれた。

資料を確認しながら、もしも隕石にウイルスがいたら
どう対応したらいいか考えた。
この隕石自体に小さな生態系ができていたということが
明らかになった今、ウイルスがいてもおかしくない。

ワクチンのようなものが必要だろうな。
そのためには、やはりこの隕石に関する情報がもっと必要だ。

 File.46 / 研究者の迷信

科学に夢中になっている研究者ほど迷信にはまりやすい。

朝の5時に廊下の階段の初段を飛ばして上ると
その日の運が良くなるとか、
小銭をなくしたら、その日の実験結果が良くなるとか。
みんなでたらめな自分だけの迷信に自信を持っていて
楽しく話していたな。

俺は夜12時ピッタリにベットに横たわるのが俺なりの迷信かな?
もし後でこれを読む人がいればその人にも聞きたい。

 File.47 / 隕石は誰にでも任せられるものではない

絶え間なく出張依頼がきていたが、
隕石管理のためことごとく断った。

他の研究員に管理を任せられたら、行けるかもしれないが
せっかく作った隕石管理マニュアルを渡しても
みんなやってられないと断るから、出張に行けない。

最大限多くの突発事項に備えられるように作成したため
少し、ほんの少しボリュームが大きいだけなのになぁ。
これでは出張はおろか、隕石から離れることができない。

 File.48 / 食への探求心

中年になって間もない数人の研究員が
俺の隕石から生えたキノコを狙っていた。

形や色から危険が感じられず、いい香りがするから
健康にもいいはずだとか言いつつ、キノコを料理して食おうとする。

人類が宇宙に進出した現在でも、ここが戦場であることを実感する。
アフリカの草原のように、よそ見した瞬間にハイエナが襲い
隕石に不幸が訪れるだろう。

監視カメラをもっと設置しよう。

 File.49 / 各科学の最先端

アイリーン博士が作った、ロナという名のアンドロイドを
俺の研究室に連れてきた。
正式な招待と言うより、俺のミスでその子に水を零してしまい
片付けのために連れてきたのだけど。

遠慮するロナを座らせてタオルを持ってきたが、
隕石をのぞき見したら興味を示した。

どうだい、君にもかっこよく見えるだろう?

形は違えど君に負けないくらい驚異的な存在だからね。
二人が一緒にいる姿を写真にでも撮っておこうか。

 File.50 / 心の準備ができた者にのみ訪れる幸運

俺はいつも地球の生命、そして宇宙の彼方の可能性を愛した。
そんな俺が隕石から生まれる生命を愛することになったのは
当然のことだった。

他の研究員が放置していた隕石のサンプルから
菌類を発見したのは偶然だったけど、
その偶然は俺の人生を大きく変えた。

でも、その偶然を繋ぎとめたのは、惜しみなく注いだ
探求心と愛さ。幸運の女神は心の準備ができた者にのみ
訪れるとはよく言ったものさ。

 

ルーシー・研究チーム

 File.51 / メカは大きいほどいい

みんな極小型ロボットや道具ばかり求めているけど、
ロボットは大きいほどカッコいいじゃん。
携帯性と利便性を補うだけの絶大な性能、
最先端科学の集合体!

何より巨大な構造物が動くときに湧き上がる胸の高鳴りや感動は
何にも代えがたいものだから!
…もちろん、その前にキャサリン博士と予算の壁に
ぶつかるだろうけど…それでもいつかは、
メイド・バイ・ルーシーバージョンメカを作って見せる!

 File.52 / アンドロイドと人間の友情

アイリーン博士が進行中の
プロジェクト・メタリックチャイルドのロボットと偶然会った。

名前は確か…ロナだったかな?
興味があっていくつか質問をしてみたけど、
本当に自ら思考をするようだ。

もう、人間の礼儀作法はほぼ覚えていたようだった。
どうやって学習しているんだろう?
アイリーン博士は本当にすごい!

あんなにすごいA.Iなら私のロマンが叶う日もそう遠くないかも。
アンドロイドと人間の友情っていうね!

 File.53 / マスコット

アイリーン博士のロボットの中で…パンだっけ?
あの子はやっぱりマスコット役だろうね。

マスコットにしてはちょっと大きめで可愛い要素は
少ない感じだけど。ロボットとロボットの友情…!
絶体絶命の危機からマスコットは自分を犠牲にロナを救い出す!

未来の希望を託すと同時に切れゆく信号音。
仲間の犠牲でロナは覚醒し、
その願いが巨大な古代ロボットを目覚めさせる!

…妄想し過ぎかな?

 File.54 / それはロボットじゃない!

マチュアさんと一緒に仕事している研究員が
「そういえばルーシーさんもアニメ好きだったっけ?
マチュアさんもロボットアニメが好きらしいよ」
って言ってくれてすごくうれしかった。

やっと友達ができるのかと思って本当に、本当にドキドキしたのに!
「あれおもしろいよね!名前なんだっけ?
ゼパンミリオン?」だって。
それはロボットじゃない!違うって!

マチュアさんが好きだと言った時に気づくべきだった。
何かを身にまとうからって全部ロボットじゃないのよ!

 File.55 / 内緒にしておこう

珍しくキャサリン博士が酒に酔った。
博士はいきなり何かアイデアが浮かんだと言って、
普段の博士ならあり得ないデザインを描いた。

羽とか、角とか、しっぽとか……
あの、ええと博士、カッコよくていいですよ。いいですけど…
こ…これは酷すぎませんかね……?

そのあとすぐ博士は寝てしまった。

目が覚めたらこのことは覚えてない…よね?
このデザインは…私が墓場まで持っていきます。

 File.56 / フィギュア

余った資材を利用して
大好きなキャラの1/144スケールのフィギュアを作った!
簡単だけど飛ぶし、歩くの!

フフフ…。自作だけど、すべての設定を
知り尽くしている私が作ったものだから結構いいクオリティなの。
今はこんなに小さいけど、
いつか1:1スケールのロボットを作ってみせ…

ところでキャサリン博士はどうしていきなり
ピコピコハンマーマシンを作ってるの?

 File.57 / 巨大なものへの憧れ

私が巨大なものに憧れ始めたのはいつ頃からだろう?
もしかしたら巨大なロボットが好きになる前から
大きければなんでもいいと思っていたかもしれない。

大きければ大きいほど障害物を簡単に超えて、
他の人を守れるしね。
何よりカッコいい!

私はちょっと内気な性格で同年代の友達より小さいから
なおさらそんな風に思っているのかもしれない。
私の足りないところを埋めてくれる
巨大ロボットに憧れるようになったのは。

 File.58 / 限定版

最近、働き過ぎて体中が痛い。
すべてはこの黒い彗星25周年の予約購入限定版
1/12スケールフィギュアのために!

今回のフィギュアには
なんとBB弾発射機能まで再現されているけど、
宇宙船の貨物規定のせいで搬入できなかったの。
研究品として入れる裏技もあるけど、
そうするにはキャサリン博士の承認が必要だった。

博士は舌打ちしてから、
頑張って研究すれば同意してくれると言ってくださった。
私のフィギュアのために頑張るわ!

 File.59 / 祈りの行方

一体どうして誤作動するのかわからないソースコードと
睨めっこして4日目。
もう、どこかの神様に祈りでもしたほうがいいかな…と思ったら、
とんでもない情報を聞いてしまったわ。

大好きなアニメの2期が出るなんて!
諦め半分だったのに!
本当に楽しみだけど、心配にもなる。
できの良い作品ほど続編が失敗するのを何度も見たんだから。

もうソースコードなんてどうでもいい!
どうか2期のクオリティがよくありますように!

 File.60 / 新技術展示会

今回ライフストリーム号で小規模の新技術展示会が開かれた。
すべての技術が素晴らしかったけど、特に1メートルから
4メートルに変身する変身ロボット技術は最高だった!

同じ場所に出展されていた18メートルのロボットの構図も
大変興味深かった。その研究所で新しい人員を募集してないか、
他の研究員たちにこっそり聞いた。
まだ追加募集は予定していないと言われたけど、
念のため連絡先をもらった。えへっ。

ところで、キャサリン博士はなんでいきなり
私を呼び出したんだろう?

 

コーナー・管理チーム

 File.61 / バカな人間とガラクタ

あのロナだか何だかのロボットをまるで自分の家族のように
かばう博士を見ると腹が立つ。

結局鉄の塊と変わらない奴を
人間のように接しているが、変に思うのは俺だけか?
風船に顔を書いたからって
それが突然人間となって、泣き出すわけじゃない。

入力しておいたロボットの計算された反応を本当の感情だと錯覚して
興奮しながらはしゃぐなんてな。
あれは家族愛ではなく、自分の成果物に対しての愛着にすぎない。

 File.62 / 身の丈に合わない

宇宙になんか来るんじゃなかった。
クソッ、家が恋しい。
頭に研究のことしか入ってねぇバカどもは
故郷がどこかも忘れているだろう。

俺が常に、
ここは俺の居場所じゃないって考えてるのとは大違いだ。
俺の居場所で家族と一緒に身の丈に合わせて暮らさないとな。

小さくて確実な幸せは地球にある。
あの何が出てくるかわかりもしない、暗いだけの宇宙ではなくてよ。

 File.63 / 人間を人間らしくするもの

偏屈博士、即ちアイリーン博士の研究室の近くに行くと
たまに人間らしく行動するロナというロボットを発見する。

研究するなら研究室にだけ置いとけばいいのに。
記録された反応を出力する顔に向き合うと、
あいつを嫌う俺が悪い人間になった気がする。
それがもっと気持ち悪い。

他の研究員が博士とロボットを避ける理由の一つも
この奇妙な罪悪感と不快感のせいだろうね。

 File.64 / お土産はチキンを買っていこう

管理乗組員って言ってるけど
俺はただ事故の後片づけをする雑務係みたいなもんだ。
宇宙は本当につまらない。
宇宙船の外を眺める度に素晴らしいと言う奴らが
羨ましいほどつまらない。

ただ暗くてキラキラしてるだけなのにどこがいいんだろう。
こういう時に家族が懐かしくなる。
お土産なんて買わずに帰ろうか。
宇宙船で買えるお土産って特にないだろう。
チキンでも買っていこう。

 File.65 / 俺だけでもしっかりしないと

ロボットはどんどん人間に近い形になっていく。
次の世代は本当に人間とロボットが区別できなくなるかもしれない。
どんなものであれ使いどころはある。

ロボットはその使いどころに合わせて作られたため、
人間とは比べられないほど完璧な仕事を行う。
ロボットを研究する奴らは、ロボットに取って代わられた人々に、
謝ったり、言い訳したりするつもりはないだろう。

俺みたいにしっかりしている奴はあまりいないんじゃないかな。

 File.66 / キャンプにでも行きたい

地球に戻りたい。
小さいころ見た映画でも人間は地から離れて
生きることはできないと言ってたんだぞ。

一緒に働く奴に鉄板の上で暮らすのはもううんざりだと言ったら
土で飾られた休憩室に行けってよ。

ふぅ…そういうことじゃねぇだろ。

今度地球に帰ったら家族と一緒にキャンプに行こう。
キャンプ用品の割引が載っていたカタログをどっかで見たような…
あ、また呼び出しだ。本当に仕事をしたくないな。

 File.67 / B級映画鑑賞

休み時間に地球でも見たB級宇宙船ホラー映画を見た。
友達に何度も退屈だって言ったら送ってくれた。
宇宙船で働く人にこんなものを送るのはどうかと思うけど。

昔は何の感動もなかったんだけど、
改めて見てみるとめっちゃ面白かった。

知ってるか?
映画では研究員が一番最初に死ぬんだぞ。ハハ。
業務のストレスが溜まり過ぎていたようだ。
友達にお勧めの作品リストをもっともらうとしよう。

 File.68 / 二度と悲観論者を無視するんじゃない

肯定と楽観が世の中を生きるに一番いい方法だと
勘違いしている奴がなんでこんなに多いんだ?

ただ信じるだけでは生きられないのが当たり前なんじゃないのか?
人生、幸せなことばかりじゃないって。

こんな話をしたら、俺を気の毒な人生だと言うが、
悲観的と不幸な人生は同義語じゃねぇんだよ。

そんな風に生きちゃダメだって指摘してくる奴らを
あざ笑い、一発ぶちかましてやるのが俺の役目であり趣味さ。

 File.69 / 不正乗車した鳥

変な音がするとの通報があった。
どうしてか2匹の鳥が宇宙船内に住み着いていた。

研究員の奴らが密搬入したんじゃねぇの?
怯えたそいつらが
ゴミ排出口へ逃げ出そうとするのを辛うじて捕まえた。
下手したら俺も一緒に宇宙に排出されるところだった。
クソッ、クソッ。

地球にいればよかったのを、なんで宇宙まで来たんだ!
次の機会に地球に放されるだろう。
俺も家に帰りたい。

 File.70 / 無駄なロボット

変に言いがかりをつけられ、人の仕事を押し付けられてしまった。
俺が適当に使いやすくて甘く見えてるってことだよな。

結局荷物を運んでいるんだけど、
あの子どもの形をしたアンドロイドが見えた。
アイリーン博士が作った何とかってアンドロイド。

それでもロボットだから
使ってみようとあれこれさせてみたんだけど、
きちんとできるものが何一つない。
こんなのロボットって言えるのか?
こんな無駄なものを作るのに天文学的な費用を費やすんだろうな。

 

マイ・通信チーム

 File.71 / 性格診断

最近地球ではコーヒーでわかる性格診断が流行っているらしい。
私は外向的だけど実は一人の時間も必要な
ピーナッツバタースムージータイプって出てたけど。

…それっていったいどんなタイプなの?

所長は情け深いけどハリネズミのような
キャラメルダブルダブルチョコラテタイプ…

キャサリン博士は気が遠くなるほどの苦いショットを追加した
ストロベリーアメリカーノタイプ…

いやいや、
地球から離れている間にどんなコーヒーが発売されたの!?

 File.72 / 異様な電波

休憩中に変な電波が届いた。
翻訳機が作動していないことから考えれば、
言語ではないだろうけど。

通信用チャンネルは自然発生する電波と混ざらないよう
このライフストリーム号専用に割り当てられた周波数だから
外部騒音である確率も低い。

初めて再生した時、
かすかに「マグナ」という音が聞こえた気がする。

なんか不気味でまた聞いてみようと自動録音ファイルを
再生してみたけど、録音ファイルが残ってなかった。
いったい何だったんだろう?

 File.73 / ローカスに水を

有休を取った仲間から通信で連絡が入った。
「マイ、ローカスに水をあげてもらえる?
私の仕事なのに忘れてしまって…」
えっ、ローカス所長を呼び捨てにするなんて!
も…もしかして二人ってそういう関係!?

私は慌てずローカス所長に水を持って行った。
そうするとローカス所長はよくわからないといった表情で私を見た。

よく考えてみればローカス所長ではなく、
仲間が研究用に育てていたロータス<蓮>だった。
気づいた瞬間、恥ずかしさがこみ上げてきたけど
慌てるローカス所長の顔が見れたからそれなりに満足した。

 File.74 / 自動翻訳機のエラー

「こんにちわん」
今日初めて受けた通信の内容だった。
わん?わん?ちょっと慌てながら引き続き通信をしたけど
それが終わりではなかった。
「ライフストリーム号、次のように伝えましょうかん?」
慣れるまでは口中を噛みながら笑いをこらえた。

あとで聞いた話だと、
自動翻訳機の定期アップデートで発生したエラーだったらしい。
エラーが修正される次の日まで乗組員たちは笑わないよう頑張った。

 File.75 / 科学の最先端、流行りの最後方

最近地球でワッフルとブラウニーと生クリームを挟んで作る
贅沢なクレープが流行っているらしい。
友達が送ってくれた写真があまりにも美味しそうで
地球に帰りたくなったよ。

そりゃまあ宇宙船に入店する食堂は限られてるし、
最新の流行りのメニューなんかはないからね…
こういう時には科学の最先端にいるけど、
流行りの最後方にいる気がするんだよな。
…ぐすん。後でチョコレートでも買って食べよう。

 File.76 / すごくてバカらしい詐欺

この前、変な通信を受けた。
「俺、俺だよ。久しぶり。お金ちょっと貸してくんない?」

この宇宙船はセキュリティシステムのため一般回線の通信は
絶対繋がることがない。どこに穴があったんだろう。
一瞬慌てたけど、すぐセキュリティチームに通報した。
後で確認してみたら通信チャンネルをハッキングして
詐欺を働こうとしたんだけど、よりによってこちらに繋がる
チャンネルに触れたようだった。

この後、宇宙船の通信セキュリティを強化するとのお知らせがきた。
その犯人はすごいのか、バカなのかよくわからない…。

 File.77 / 仕事への覚悟

相当長く宇宙船の通信室で働いたけど、
緊急遭難信号を受信したことはない。

宇宙で迷子になった人がいないかもしれないし、
もしものことを想定して作られたシステムだけど、
いつか救助要請の通信が来たら焦らないように、
いつも心の準備をしている。

宇宙で迷子になったのなら本当に怖いだろうし、
そのとき、私が誰かの唯一の命綱かもしれないから。

 File.78 / 季節感は大事です

宇宙船はいつも適切な気温を維持する。
最初は暑さや寒さの心配をしなくてもいい職場が
とても気に入ったんだけど、最近はホームシックが酷くなって
毎日がだるくて、季節があったのが懐かしい。

ホラー映画は夏が一番面白く感じられるし、
暖かいココアは冬に飲んだほうが心まで温まる。
服も色んなものが着れるし。

地球で新しい職場を探してみようかな。

 File.79 / カフェのような余裕のある休憩が欲しかったのに

通信が多くない日には通信室でまったり待機する時間が長い。
その時間にホームカフェのように飲み物を作って、
ゆっくり休憩できたらいいなと思いついた。

それでコーヒーと牛乳、ジャムを持ってきて
飲み物を作ったのは良かったけど、
急な通信に驚いて飲み物を零してしまった。

通信は短かったけど、
片づけるのが大変な一日になってしまった。
ふう……。

 File.80 / 飴にはよくない思い出がある

通信員の多くは業務中、糖分補充のために飴を用意している。
でも、私は飴に良くない思い出がある。

昔、飴を口の中に入れたとたん通信が入ってきた。
ビデオ通話だったので、飲み込むこともできず
通信をしている最中に、口から飴がぽろっと落ちた。

あとで相手の通信員が気にしていないとメッセージを
送ってくれたけど、私は勤務中に飴を食べなくなった。

 

ジャッキー・人事チーム

 File.81 / 面接用アンドロイド

面接で応募者の中の一人が酷く緊張していました。
心配で話してみたら人の前ではなぜか緊張すると答えました。

「大丈夫です。私は人間ではなく、アンドロイドですので」

緊張をほぐしてあげるための冗談だったのですが。
驚くことにその後、
その人はとても落ち着いた様子で受け答えをしていました。
結果は分かりませんが、私の評価は悪くありません。
人からストレスを受ける気持ちはよく知っていましてね。
仕事さえ上手くやってくれれば問題ありません。

 File.82 / 嫉妬という暗い感情

ライフストリーム号にいる科学者たちは、
エリートで構成されていました。

この宇宙船の科学者となるために必要なのは、
華々しいな経歴と成果です。

しかし、盲点がありました。
ここに来たら、もう研究をしなくても良いと考える人が現れました。
素晴らしい環境で自由に仕事をするふりをして
サボる研究者が増えました。

この科学者達には厄介な事に、嫉妬という感情が残っていました。
素晴らしい研究や成果を出した若い科学者に、
様々な嫌がらせを行っていました。
残念ながら何人かの科学者は嫌がらせによってここを離れていきました。

ここで酷いことをたくさん見てきましたが、
この人たちの嫉妬が一番醜かったですね。
あ、感情を少し出しすぎましたね。

 File.83 / 印象深い答え

面接にはいろいろとお決まりの質問があります。
「どうしてこの会社と職業を選びましたか?」
という質問もその一つです。

答えはたくさんありますが、答えの充実さや
素晴らしさはさておき一番印象に残っている答えは、
「他のところにも応募しています。
うぬぼれないでください。」でした。

そうですね。誰かの面接を行うからといって
私が傲慢になってはいけませんよね。
自分を見つめ直す良い機会になりました。

その答えをした応募者は深い印象を残して
残念ながら落ちてしまいましたけどね。
せめてローカス所長の前でもそう言って欲しかったのですが……。

 File.84 / 冥界からの通信

最近通信員の間で、
冥界からの通信という不思議な電波の噂が広まっています。
奇妙な音が聞こえてきて、慌てて録音記録を再生しても
その音は聞こえなくなっているのです。

もし幽霊なら、
死んでも通信をする人の心情はどのようなものでしょう。
どうしても伝えたいことがあったのかもしれません。
恋人の裏切りで無念に亡くなった幽霊、
故郷の幼馴染に思いを伝えられなかった幽霊…。

私は宇宙人にかけますが…どちらにせよ興味を惹かれます。

 File.85 / 宇宙船の恋愛話

人事部にいると、プライベートな情報を得ることがあります。
人々はいつも仕事より刺激的な事件が好きですからね。
その中で一番人気が高いのは恋愛話です。

ジャフがオリビアとミランダに二股をかけていたけど、
なんとオリビアとジャフは生き別れの実の兄妹で、
ミランダとオリビアは育ての親のもとで一緒に暮らした
姉妹だったけど、オリビアの新しい婚約者が現れて…!

あ、この辺にしておきましょう。
みんな生活がある方ですから。
…え?続けてほしいですか?

 File.86 / 珍しい二人

本日は面接が午後に3件ありました。
こういう日があるのも仕方ありません。

面接者の評価まで終えると、
いつの間にか午後7時を過ぎていました。
帰り道で、ローカス所長とエイデン博士が
話をしているところを見かけました。

研究所長と研究員が話をするのは別に珍しくないですが、
二人とも人の目を気にしていて、妙に目立ちました。
定期面談の時期でもないですしね。

何の話か詳しく聞きたい気持ちもありましたが…
疲れていたので、家に帰ることにしました。

 File.87 / 面接は素直に自分をさらけ出す事

面接のコツを聞かれたら返答に困ります。
面接で私の評価は採用に大きな影響を与えないので、
どんな回答が評価に繋がるのかも分かりません。

「この職場のどこが気に入りましたか?」
「私の家から近いところです。」

こんな答えを好む上司がいるかもしれません。
なので、会社と性格が合うか確認できるよう、
素直に自分をさらけ出してくださいと、
教科書的な返答しかできません。

 File.88 / 面接は結局、運

「私の長所は実際の人間にはあまり興味がないことです!」
と面接者が答えたことがあります。
おそらく、仕事に対する集中力が良いと主張したかったようですが、
緊張していて上手く答えられなかったようです。

普段なら御見送りしますが、社内恋愛に大きく苦労されていた
ある面接官にはとても素晴らしい長所だと思えたようです。
大きく印象に残り、高い評価をつけていました。

面接もやっぱり運次第ですね。

 File.89 / 公開告白はハイリスク

今回宇宙船で行われた
勇気のある告白を偶然目撃しました。

とある女性が地球から来たシャトルから降りると
正装をした乗組員が走ってきて、
花と指輪を捧げながら情熱的なプロポーズをしたのです。

そして…………断られました。

周りで見守っていた人たちは気まずい感じで
何も言わず、少しずつ遠ざかって行きました。
できれば夢であって欲しかった…。

先ほどその告白した人の有休を受理しました。

 File.90 / 面接室はカラオケではありません

応募者はいつも強烈な印象を残したがります。
その気持ちを分からなくはないですが、
自己紹介の時間になぜ歌を歌うのでしょうか?

踊る人は見たことあったのですが、歌は初めてでした。
面接官としてはそれなりに新しい経験でした。

反応しないと急に泣き出してしまう応募者もいますので、
適切な反応をするよう気にかけるのも仕事です。
でも、長所として歌を書いてくれたのに長所ではありませんでした。

 

ダグラス・運送チーム

 File.91 / その名は、おばあちゃん

貨物の中で動く毛玉を見つけたので、近づいてみたら子犬だった。
一般区画の人が連れてきたと思われる子犬が、
道に迷っているようだった。

離れようとせずくっついてくるので、
結局そいつを抱きかかえて宇宙船内を回りながら飼い主を探した。
幸い飼い主を見つけることができた。ちびっ子だった。

「ありがとうございます!よかったよ、おばあちゃん!」

…何故、子犬の名前がおばあちゃんなんだ?
その時についた白い毛が、未だに服から出てくる。

 File.92 / 一番マズいお菓子

仲間が地球に行ってくる際にお土産で
世界で一番マズいというお菓子をくれた。

俺が楽しめる味ではなかったが、
貰い過ぎて半分以上は研究部署のほうに渡した。
仕事しながら甘いものをたくさん食べるだろうけど、
おやつは一つでも色んな種類があったほうが良いではないか。

よく会う人には直接一つずつ渡した。
食べるとくちゃくちゃになる顔が見ものだ。

それにしてもこのお菓子、食べ続けたら美味しいな。

 File.93 / 私たちもまた乗組員である

この宇宙船には研究員ばかりいるわけではない。

それぞれ自分の役割を担い宇宙船の維持に務めている。
俺たちは研究員のパシリでは無い。

研究以外何も知らない研究員たちは、
自分たちがどのように人と接しているかも
気にしていないのかもしれない。

俺たちは「おばさん、おじさん」呼ばわりされる人ではない。
来いと言われたら行って、行けと言われたら去る人ではないのだ。

そのお偉い学位とやらは、人間性を育ててはくれなかったようだな。

 File.94 / 家族の贈り物

ある乗組員に成人男性より大きな荷物が届いた。
いつもと違って配達員一人で運ぶのは大変そうだったので、
一緒に輸送装置を利用してそいつの部屋にやっと置くことができた。

中身は自分と同じくらいの大きさのアクアリウムだった。
乗組員が故郷の海を懐かしんでいたので、
その家族が送ってくれたプレゼントだそうだ。

配置するのに手間取ったけど、
完成したらなかなかきれいだ。

地球に戻ったら、一度海に行ってみたいな。

 File.95 / 一緒に

たまに個人貨物の中に取扱注意の貨物が届いたりする。
今日も取扱注意の貨物が一つ届いた。

貨物の間で目立つほど厳重に梱包されていて
すぐに受取人が直接取りに来た。

俺が知りたがっている様子を見て、
地球に置いてきた猫だと説明してくれた。
家族と一緒に暮らしていたが亡くなってしまい、
火葬した後に送ってくれたそうだ。

一緒にいてやれなかった分、
しばらく宇宙を見せてあげると言って大切に抱いて帰った。

 File.96 / 不思議な本

貨物を整理している際、包装が破れた貨物を発見した。
表紙に魔法陣のようなものが描かれた古い革の本で、
いきなり緑に光り、ページが勝手にめくられていった。
もちろん、すぐに閉じた。

誰かの特殊な趣味の品かと思い、
念のため特殊素材用のテープで梱包しておいた。
まともな包装もせずに、こんなものを送ってどうしろと言うんだ?
次の日、誰かが受け取ったのか本は無くなっていた。

 File.97 / 貨物チームの映像

カメラを持った乗組員が貨物チームを撮影したいと訪ねてきた。
嫌な予感しかしない。

写真は俺の人生の一瞬しか現わさない。
そして俺はその写真の中の人物として誰かに映る。

俺の人生ではなく写真が見せたいイメージで描かれる。
そもそも、貨物チームの話を聞きたがる人が
どれほどいるのだろうか。

でも撮影要請には応じた。
存在自体が消されるよりはマシだから。

 File.98 / 転職する仲間

一緒に働いていた仲間が宇宙船を離れることになった。
家族から帰ってきて欲しいと言われ、
もう子どもも大きくなったから、地球で就職先を見つけると言った。

荷物整理を手伝いながら他の話も聞くことができた。
この仕事が嫌いなわけじゃないけど、
自分の子どもにはもっと良い環境と場所で仕事してほしくて、
それの手助けをしたいらしい。

申し訳なさそうにしている彼の肩を叩いてやる以外、
何もできなかった。

 File.99 / 一体どれだけすごいおもちゃなんだよ

数日前から貨物チームを訪れ、
騒がしくしているルーシーという研究員がいる。

ロボットの形をしたおもちゃを1つ届けてもらいたいようだが、
おもちゃの銃がついていて宇宙船のルール上、
搬入できないと説明した。

泣きそうな顔を見ていると、可哀そうに思え
研究員なら研究品に登録して
届けてもらえばいいと教えてあげたのが昨日のこと。
今日は上司が許可してくれないと戻ってきた。
それなら俺にも方法はないと答えたら

また来ますと言って帰った。…また?

 File.100 / 家族からの贈り物

最近胃炎になってしまったので、
負担が大きい食べ物は避けるようにしている。

それで飲み物もコーヒーの代わりに
仲間が分けてくれた生姜茶を飲んでいる。
家族が送ってくれたと言いながら笑う顔が明るい。

遠く離れているから、恋しくなり関係が良くなったと
冗談を言う奴もいるけど、
乗組員の貨物は家族からの贈り物が一番多い。

すべての家族関係が良いわけではないようで、
たまに離婚書類みたいなのも届いたりするが。

 

マチュア・研究チーム

 File.101 / 通りすがりの猫

道に迷った猫が研究室に入ってきた。

モフモフした毛並みと輝く目が本当に可愛くて
我を忘れて遊ん…だんじゃなくて面倒を見ていた。

遊んでないよ。

でも、後でどっかの研究員が来て自分のところの研究室から
脱出したロボットだって言いながら連れて行っちゃったのよ。
ロボットなのも知らず可愛がるとは!

生命科学者の恥よ!…それなりに可愛かったけど。
で、でも所詮はロボットよ!

 File.102 / タコは機械より優秀

セキュリティチームにいる誰かのロボットアームが故障したと聞いて
試作品の実験…じゃなくて、
今回作ったタコ生体アームを使ってもらおうと訪ねた。

物を取るのも優秀で、伸縮性もよく、壁を這い上がることもできる!

でも、思ったより吸盤が強力すぎて壁からはがれなかった。
吸盤を壁からはがすよりタコ腕を分離するのがもっと早かった。

…追い出された後、研究室でタコを焼いて食べた。
残念……。

 File.103 / ロボットじゃない!

休み時間にアニメを見ていたんだけど、
助手の一人が知った振りしながら話しかけてきた。

「博士、ゼパンミリオンが好きなんですね!そういえば、
キャサリン博士の助手もロボットアニメが好きのようですけど」
って言うから思わず「違う!」って叫んでしまったよ!

でも、でもゼパンミリオンはメカじゃない!
もっと詳しく話せばネタバレになるけど、
とにかくロボットじゃないんだよ!いい?
ロボットのような鉄の塊とは違うの!

 File.104 / 空洞化現象

今回は最低限の水と土で育てられるジャガイモを
投資者の前で発表したけど、結果は良くなかった。

2日で芽が出て4日で収穫できるすごい植物なのに。
ただ、ジャガイモの内部が空っぽで食べられる部分は
多くないんだけど………揚げればおいしいもん。

栄養が全然足りてないと一言言われたわ。
かなり自信作だったのに残念だよ。

 File.105 / 植物も超音波を使う

新しく開発した作物がとっても美味しい。
味は甘く、焼けばサクサクで中はしっとりとしている。
でも、育てるのが難しいわけでもないのに、
今回も反応が良くなかったの…。

不思議だわ。
抜き取る時、植物から出る超音波が
人間の泣き声のように聞こえるから?
根本がちょっと人間の顔みたいなのが問題なの?
土にまた埋めると超音波は止まるのに。

マンドラゴラと名付けたらみんな面白がると思ったんだけど、
違うみたい。

 File.106 / 生命科学のすばらしさをわかって

生命科学で発見された生物の免疫体系は
色んなセキュリティシステムのモチーフとして役立てられている。

生命科学は様々な分野と深くつながりを持っているのよ…
セキュリティ体系アイデアコンテストで生命科学は要らないと
企画書が戻ってきたせいで怒っている訳じゃないの。

生命科学を生命だけの学問と
考えているのが納得いかないのよ。
ロボットは何でもできると思っているくせに!

 File.107 / 人間には元々しっぽがあった

医療用補助器具の新しいデザインについて悩んでいる時に
とっても素晴らしいアイデアが誕生したわ!

これはきっと成功するって確信してる!
筋肉質のしっぽを人に植え付け、補助器具として使うのよ。
すぐ退化する足の筋肉の代わりにも使用できるし、
リハビリにも使えると思うの!

しっぽでジャンプしたり、手のように使用することもできるはずよ。
維持費用がちょっと、結構かかりそうだけど、まあ気にすることじゃないわ!

 File.108 / 己を知れば

ロボット工学はかっこよく見えるけど、
生命科学では人の世界を変えることができるの。

飢えや不治の病を治して、
人間の肉体を強化することもできる。
生命科学は人間について研究し、
より良い世界にすることができるの。

つまり、
人間についてもっと知ることが必要なの。
「敵を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」
っていう言葉のように。
こういう時に使う言葉じゃなかったっけ?

 File.109 / 私たちの研究室にロボットはいない

宇宙船に見学で来た学生たちの案内役を任された。

半ば強制だったのだけれど、
この中から生命科学の未来の新星が現れるかもしれないと思って、
楽しく研究室を紹介した。

でも、誰かがこう聞いて来た。
「ロボットはいないのですか?」生命科学には興味がないようだった。
テレビでロボットのアニメばっかりやってるせいよ!

生命科学と関係のある
特殊能力を持ったヒーローの映画とか作ってほしいな。

 File.110 / 宇宙船の都市伝説

宇宙船に出回っている都市伝説には、宇宙人と幽霊がよく登場する。

私は宇宙人のほうが好き。
幽霊は生物学にあまり役立たないけど、

色んな生命体の標本は生命科学の発展に繋がるし。
それで宇宙人が現れたら研究してみたいと言ったら、
怪談話をしてきた乗組員に変わっているねと言われた。

そうなのかな?
支援金に餓えている研究員たちはみんな
私みたいに宇宙人に会うとすごく喜ぶと思うけど。

 

ハーマン・セキュリティチーム

 File.111 / アリのロボット

研究室で新しく作ったアリくらいの大きさの小型ロボットが
脱出して大騒ぎになった。

セキュリティチームの半数が
ロボットを捕まえるために半日も探し回ったんだぞ!
夏休みに虫取りをする子どもじゃあるまいし!

そのときに、数体のロボットが
俺のロボットアームの中に入ってしまったので、
結局修理が終わるまで、
長い間腕を外して生活する羽目になった。

所長は小さな事故だと言って研究員をかばっているし。
結局大きな事故が起こらない限り、重大さに気づかないんだよな。

 File.112 / 業務の大半は些細な事

こんな特殊な宇宙船のセキュリティチームと言えば、
特別な仕事をすることになると思うだろうけど現実は違う。

この宇宙船は宇宙ステーションも兼ねているため、
そこで起きる騒動の90%以上が一般人によるものだ。

迷子の親を探してあげることや、落とし物の保管など、
大体こういった無難な仕事ばかりだ。

最近あった面白いことと言えば、
研究室に忍び込もうとした変なストリーマーがいたな。
個人放送のために地球から宇宙まで来るなんて相当な情熱だ。
追い出しちゃったけどね。

 File.113 / 研究員はお酒に弱い?

なんでこの宇宙船では飲酒が許可されているんだ!?
今月だけでも酔っ払い客に関する通報が20件だ。
その中の半分は研究員の奴らが
お酒を飲んで倒れているというものだ!
研究員は一般人と違い、
実験棟や立ち入り禁止地域も入れるからなお面倒だ。

この前、動力室で隠れん坊している研究員を捕まえたら、
俺にオニになれってよ。
飲酒はさっさと禁止にしてくれ。

 File.114 / 保護観察対象

毎日真っ暗な宇宙を見て、
心を壊してしまう人がたまに出てしまう。
今日は行方が分からなくなっていた病人を
非常用脱出ポッドの中で見つけた。
もう少し発見が遅れたら、
宇宙の塵となってしまっていたかもしれない。

前から保護観察対象に指定されていたので、
見つけることができた。
どうしようもないので隔離室へと連れて行った。
これで身の安全だけは保障されるだろう。
窓越しの宇宙はいつものように真っ暗なままだが。

 File.115 / しょうがなかった

ある研究員が俺を慌てて呼び止めた。
テスト中のロボットが一般人に持ち去られてしまい、
助けて欲しいとのことだ。

どうやったら一般人に持ち去られてしまうんだ…?
聞いてみれば言っていることがまたすごい。
「ロボットの電源を入れたまま、ちょっと目を離した隙に…
ははは。しょうがないですよね。」

結局ロボットに跨って宇宙船内を飛行していた
一般人を捕らえることができた。
その過程でロボットが大きく壊れてしまったけど、
捕まえるためにはしょうがなかった。

 File.116 / 迷惑なやつはどこにでもいる

人が住むところはどこも一緒だ。
宇宙船でさえ、飲食店で暴れる奴らがいる。
職員たちの手に負えなくなるとセキュリティチームに
助けを求めてくるんだけど、この場合職員たちが一度諦めた奴なので
迷惑な客の中でも一番タチが悪い。
テーブルと椅子を積み上げて籠城する奴もいた。

普段は制圧し隔離室まで連行すると反省してくれる。
そして最後まであらがう奴は、地球へと強制送還される。
宇宙船の安全が最優先されるからだ。

 File.117 / 正義

研究員の奴らがいきなり廊下から飛び出てきた。
いきなり俺を拘束ロボットで捕まえて動けなくした後、
指を差しながら、「もっと研究員に優しくしろ!
これは正義の裁きだ!」と叫び始めた。

俺は、ロボットアームで拘束ロボットを破壊した。
怖気づいて悲鳴をあげている研究員たちを
セキュリティ室まで引きずって行った。
二度とセキュリティチームを妨害しないように念書を
書かせた後、解放してやった。

 File.118 / 俺はロボット、探偵さ

あるロボットが俺を指しながら叫んだ。
「犯人ハオマエダ!」
…研究員の奴らが作った探偵ロボットらしい。
19世紀の探偵のパーツを付けたロボットは、
俺が研究員Hをさらった犯人だと結論を出した。

確かに、俺が昨日連れて行った。
廊下で火事を起こそうとしていたから。
「ソレジャア、マタナ!」と言い残して探偵ロボットは消えた。
研究員たちは探偵ロボットの捜査能力に感心しながら出て行った。
すごいロボットだな。二度と来るんじゃない。

 File.119 / 怪しい行商人

宇宙にも地球にも、
違法に怪しい物を売る行商人はいるものだ。
そしてそんな奴らが売っている物の中にまともな物はないも同然だ。
認証を受けていないバッテリーなどは爆発する恐れがある。
最近宇宙船で、手を叩いて踊るゴリラロボットを
買ってくる奴らが山ほどいた。

怪しいので分解してみると、やはり違法なチップが入っていた。
結局直接回りながら一々没収せざるを得なかった。疲れた。

 File.120 / 嫌な予感

セキュリティチームの待機室で休憩中に、緊急アラームが鳴った。
研究員の一人が犯罪行為を行っているという通信が入ってきた。

ここの研究員たちが侵す犯罪は、機密事項の流出や
研究費横領みたいな書類上で行われる犯罪がほとんどである。
しかしセキュリティチームへの
緊急アラームが鳴る程の犯罪と言うのは…

とてつもなく不吉な予感がしたので
記録を残しておこう。
また帰ってきて何事もなかったと記録できることを願う。

 

ヴァイス・メンテナンスチーム

 File.121 / 整備士のお仕事

機械に慣れない人はどこにでもいるもんさ。
この宇宙船上であってもね。
未だ機械が故障した時に、叩いて直そうとする人がいるんだから。
そのせいで壊れた機械が、たまに私のところに来て
修理を受けたりする。

大変じゃないかと聞かれる時もあるけど、別にそうでもないよ。
どうやって機械と会話すればいいか、分からないだけだから。
その会話を代わりにやってあげるのが私の役目でしょ?
あと、機械は壊れたら直せばいいだけだから。
一番素敵なところよ!

 File.122 / 珍しい自動販売機

ライフストリーム号の所々には
乗組員用の自動販売機が置かれている。
その自販機の一つが故障して修理要請が入った。

私はまったく使ったことないから知らなかったけど、
売っているものが本当に様々なものが用意されていた。
飲み物やお菓子から、歯ブラシと歯磨き粉、
手鏡や文房具類、簡単な衣服類まで。

分解してみたら、販売中だったシャボン玉の液が漏れ出て
自動販売機の内部に流れ込んだのが故障の原因だった。
…なんでシャボン液を売っているの?

 File.123 / 立派に人を守ってくれた友達

そう言えば修理要請で何か来てたような…
えっ、室内移動用ホバーボードじゃん!?
確かに宇宙船内でもよく乗ってる人がいたよね。

去年新しく出たばかりのモデルだね。
なんでもう修理が必要なの?

そっか。事故だったんだ。エアバックも破れたんだ。
負傷者がいなかったのは、君の完璧な安全装置のおかげだよ。
人のために自分の役目を果たしたのね。
偉いやつは私がきれいに直してあげる!

 File.124 / メンテナンスチームの退魔師

ストレージに幽霊が現れたそうよ。
いろんなモノが飛び回ってるって。
幽霊は苦手で青ざめながら、
そんなのいないって身震いしたんだけど、
その幽霊を退治してほしいとセキュリティチームが
私を呼び出した。何言ってるの!幽霊は嫌よ!

幽霊の正体は重力調節装置の故障だった。重力が制御できず
モノが飛び回っていたせいで起きた事故だった。
幸い深刻な故障じゃなかったからすぐ直したけど…
その後、しばらくの間、仲間たちに退魔師とからかわれた。

 File.125 / 地球になんて行きません

仲間から「あなたは地球に行ったら何がしたい?」と聞かれ、
「私はここでずっと暮らしますけど?」と答えた。

最新式の小規模粒子加速器や半重力制御装置を
思う存分使える研究室は滅多にないんだから!

巨大な先端科学機体の中で生活しているのも素敵だし、
宇宙の真ん中でこの人達と一緒に暮らしていると思うと
互いをもうちょっと大切にしようとしてるし。
とにかく、宇宙大好き!

 File.126 / 花壇ロボット?

みんなマニュアルを読まなさすぎ。
スープを飲むのにスプーンじゃなく
フォークを使っちゃダメでしょ。

この間は、草花が入り込んでエラーが発生した
ロボットが届いたことがある。
乗組員たちが掃除ロボットの背中に畑を作り、
サボテンや花などを育てたようだった。
花壇兼ロボットだったのかな?
いくら何でも勝手にロボットを改造しちゃダメでしょ!
防水処理ができてないモデルかもしれないじゃん。

マニュアルを必ず熟読してから使ってね!

 File.127 / ロナは人間?ロボット?

アイリーン博士の研究室のロボット、
ロナはいつ見てもすごいと思う。
今日廊下で会ったけど、ロナが私に挨拶をしてくれた。
私はロボットに話しかけているけど、
まさかロボットから挨拶されるなんて。

挨拶を返せばいいだけなのに、びっくりして何も返せなかった。
思い返してみてもダメな対応だったと思うわ。
ロナを人間として受け入れるべきか、
ロボットとして扱えばいいのか分からない。

でも挨拶が返せなかったのはそれ以前の問題ね。
ほんと、自分が情けない。

 File.128 / 無駄な発明品

最近休みの時間にいくつか発明品を作った。
趣味で作ってるだけだから、商業的な使い道はないけど。

最近作ったのはプロティンバーを
手を使わず食べるための補助アーム。
働きながら食べられるといいなと思って作ったの。

また、ドミノを早く並べてくれる機械も作ったし、
炭酸を高速注入できるタンブラーも作ったけど
これはすぐに使わなくなったので廃棄した。

…思い返せば本当にくだらないものばかり作ってたのね。

 File.129 / 電子回路のファッション

休日に偶然出会った友人が私の青チェックシャツを指しながら
こんなことを言ってきた。
「いつもその服着てない?」

科学者がチェックシャツを好むっていうのは、
昔流行った偏見じゃない。
そもそも私はこのデザインが気に入っているの。
ロボットの電子回路のようなこのデザインがね!
だからその質問にはこう答えたの。
「もちろん、違うわよ。
黄色のチェックシャツもあるわ!」

結構良いデザインだと思うんだけど………。

 File.130 / 医療チームのかわい子ちゃん

今日のお客さんは…医療チームのナースロボットね。
メンテナンス理由は……
診察の精密度が落ちたためか…どれどれ。

部品がかなり老化してるね、
それでもかなり可愛がられてるみたい。
管理自体は丁寧にできている。

ロボットを故障したら交換する
消耗品のように使ってる人もいるけど、
管理してくれる人が君を気に入っているようだね。

…予算不足で交換できないからかもしれないけど……。

さあ、交替完了!明日にはまた人々の診察ができるようになるわ。
よろしくね!

 

オジロ・研究チーム

 File.131 / 価値のある過去

私たちを成しているのは結局過去の記憶である。

幾多の過去が私たちを通り過ぎていく。
それを握りしめる数少ない方法の1つが記録だ。

しかし、記録では数少ない情報しか残すことができない。
だから価値のある情報を選んで未来へ残すことしかできない。

そもそも価値のない情報など、この世の中にあるのだろうか?

結局、今を生きる者として私が残す記録が彼らにとって
価値のあるものであることを願うしかない。

 File.132 / 点から線に

研究員の情熱はまぶしい。
彼らが研究し、開発する分野はそれぞれだけど
成功と失敗に関係なくそのすべてが集まって
人類の未来を照らして行く。

人類はもはや未来を切り開いて行く存在となったのだ。
この膨大な宇宙でたった一つの点になりえるかどうかも
分からなかった生命体は、一歩ずつ進み線となりつつある。

このドキュメンタリーは私の作品の中でも、特に記憶に残る作品になるだろう。

 File.133 / 縁

私はドキュメンタリーを通じて、人と人をつなぎ合わせている。

普段生活する中で関わらない人たちをつなぎ合わせ、
新たな縁を生み出す。

人間は1人では生きていけない存在だ。
なるべく多くの人とつながっていた方が成功しやすい。

こんな私の意図がドキュメンタリーで伝わってほしい。
私もまた信じられる仲間とつながっているから、きっと成功できるはずだ。

 File.134 / 光りを求めて

宇宙船内で動画を撮っていると、画面を構成する色が強すぎる。

研究員と乗組員たちの服装もそうだし、
船内は基本的に明るく保たれている。

鮮明な色の軌跡が派手に映像を、
彩ってくれている。ハハハ。

おかげで落ち着きのある動画を撮りにくいんだよな。
困る。

うーむ…真っ暗な宇宙の真ん中にいると、
闇に埋もれないための、人間なりの本能ってやつかもしれない。

 File.135 / クリエイターの仕事

今日、会社で提出期限を過ぎている事を指摘された。
納期を大幅に過ぎていますって。

一つの作品が誕生するまでの過程を
考えていない人たちがいる。

創作と事務仕事は違う。
作品はそれを見た人に感動を与えられなけばならない。
私はそこに達するまで努力を重ねるだけだ。

多くのクリエイターたちは、
このような会社の方針に不満を持っている。

 File.136 / 真実の力

誰でもそうだろうけど、
私もドキュメンタリー監督になるために生まれたわけじゃない。

ある日、私の人生を根本から変えてしまう映像を目にしたんだ。
リアルな世界は物語より心に強烈に響く。

自分の世界が広まる感覚は今まで感じたことのない感覚だった。

そして今、私はドキュメンタリーを撮影している。
この映像で映し出される世界が
誰かのためになると信じて。

 File.137 / 私は代弁者

宇宙を動画にしたい人はたくさんいるだろう。
数少ないチャンスを得た私が、この映像を通して
人々に見せたいものはいったい何だろう。

私は代弁者だ。

私が撮影した人の人生が
映画のように一つにまとめられ巨大な物語まではならないと思うが、
情熱的な彼らの人生が、誰かにきっかけを与えられるはずだ。

それから始まった小さな変化が、
やがて世界を変える大きな一歩となるだろう。

 File.138 / 宇宙船の愛しき招かれざる客

宇宙船に招かれざる客が現れた。
宇宙海賊でも、宇宙人でもない、その正体は地球の鳥だった。

その救助作業を撮影した。
驚いた鳥が宇宙へ逃げ出そうとする危険な状況を
何とか乗り越えて無事救助し、ケージの中に入れることができた。
鳥を見ながら愚痴をこぼす乗組員の顔は
なかなかいい笑顔になっていた。

しかし、珍しい映像ではないため
反響が期待できそうにないので、編集版に入れるかは悩まされる。

 File.139 / 編集の意図

事件の順番を少し変えるだけで話は大きく変わる。
よりおもしろくするためには
事件に加えられるべき最低限の編集だと思っているが、
やり過ぎるとただのヤラセや事実のねじ曲げだとクレームになる。

ところで、私がずっと研究員の失敗シーンを
集めて編集するのは
人間らしさをよりはっきりと伝えるためであって、

決してバカにしようという意図はない。

 File.140 / 別の人生

インタビューでよくする質問の1つが
「もしこの仕事をしていなかったら、何をしていましたか?」だ。

人間は常に過去を振り返る存在だから、
別の自分を想像していることは多い。

私が監督でなかったら、ゲームを作っていたんじゃないかな。
映像とゲームはお客様を楽しませたり、
感動させたりするという共通点があるから。
現実かゲーム内かの違いはあるが、
どのような形であれ今のように、宇宙を飛んでいると思う。

 

HG・ソフトウェアチーム

 File.141 / 理想郷への歩み

ソフトウェアを作るとき、いつもバランスに悩まされる。

誰かには簡単すぎて、誰かには難しすぎる。
だからと言って2人の間を取ってバランスを調整すれば
どっちつかずなバランスになりがちだ。

つまり、バランスはとても相対的な部分と言うことだ。
これをどう調整するかいつも悩んでいる。
ソフトウェアが完成されても、バランスはずっと未完成のままだ。

数多いフィードバックを通して、
理想郷に一歩ずつ歩んでいくしかない。

 File.142 / 宇宙ブラック

今年もソフトウェアチームの増員が認められなかった。

ローカス所長から
「昨年は別に問題がなかったのに
どうして増員が必要なのか」と聞かれた。

現在、宇宙船の運営ソフトウェアが安定している理由は
ソフトウェアチームのとてつもない犠牲で維持されているからだ。
毎日発生するハッキングに対応するために、遅くまで残業している。

私は状況を説明し、幸いにもローカス所長から
一名の増員許可を得ることができた。
これでチームのメンバーに満足してもらえるだろう。

 File.143 / バグ発生

正直、バグを0にするのは不可能に近い。

代わりに大きな問題を起こしそうなバグは徹底的に探し出し、
マニュアル通り利用した際にはバグが発生しないように作るべきだ。
つまり、バグの数を0にするのではなく、
報告されるバグの数を0にするのが大事ってことだ。

バグレポートの中には一目で分かるものがあれば、
どこが問題なのか全然分からないバグも結構多い。
そうなると、簡単なバグであっても修正するには
かなりの時間を要する。

今そのようなバグが上がってきた。
しばらく寝れそうにないな。

 File.144 / リリースする勇気

一般的に1つのソフトウェアを作るには、最低でも1年以上はかかる。
ある時は3年かかる場合もあり、
5年、6年かかってやっと完成することもある。

つまり、私たちの成果は良くて1年に1度だけしか披露できない。
もし今私たちが失敗すると、1年以上の
時間をかけないと挽回できない。

だから、ソフトウェアをリリースする時のプレッシャーは凄まじい。
人々の反応はどうなんだろう?大きな問題は発生しないだろうか?
様々な感情が渦巻く。

それでも信じるのさ。
問題が起きず、成功することを。

 File.145 / 本当に忙しい瞬間

一般的にはソフトウェアをリリースする前が
一番忙しいと思われがちだけど実際は違う。

ソフトウェアチームの一番忙しい瞬間は、
リリース後の1週間である。
確かに修正したはずのバグが再度発生したり、見たことのない
問題点が連鎖的に発生する。

シャンパンを飲みながらリリースボタンを押して、
ゆっくり休息を満喫するのはファンタジー小説の中だけだ。

 File.146 / 多くの意見

ソフトウェアが不安定な状態なのは、仕方のないことだ。
でも、それを安定的に作る方法は?

それは、多くの意見だ。

ソフトウェアは開発チームと言う
少数のチームによって作られるものだ。
だからもっと広い世界に進出するためには、
より多くの人達のフィードバックが必要不可欠だ。

そのためかQAやテストに資金を惜しまないところが増えている。
…ローカス所長はこれを見ているだろうか?

 File.147 / 半歩先を行く

今日はチーム内外の人を集めてアイデア会議を行った。
ライフストリーム号内の全システムのアップグレードを
計画しているが、そのためのアイデアが必要だったからだ。

しかし乗組員も環境に適応しているし、
不満の声が上がってもないのに、
追加のアップグレードが本当に必要なのかという意見もあった。

安定的な運営もまた間違ってはいないが、
ソフトウェアは人々が求めている事の半歩先を行くべきだと思う。

幸いみんな納得してくれたけど、
これといったアイデアが出てなくて、
会議はそのまま終わってしまった。空しいな。

 File.148 / 古いソフトウェア

知り合いから昔、本当に大好きだったゲームだからと
古いソフトウェアの復元を頼まれた。

とても古いOS内蔵のゲームで、
色んなエミュレーターで試してみたけど、起動に失敗したそうだ。

あまりにも切実にお願いされたので、あらゆる方法で問題を解決し、
このゲームのためだけにエミュレーターを作った。

ところで…このゲームは…ピンボールじゃないか!?
2000年代初頭、有名OSに一時期内蔵されていたあのゲーム……。

 File.149 / セキュリティ問題

何かおかしい。

このライフストリーム号で最高レベルの権限は
ごく一部の人にしか与えられていない。
このシステムを作った私ですら、
誰がその権限を持っているかわからない。

最近その最高レベルの権限を持つ1人が、
いくつか権限の設定を変更した。
設定を変更するのは問題無いが、
こういった変更は珍しいことなので、詳しく調べてみた。
もし、これが外部からのハッキングなら大問題だからだ。

幸い内部で行われたログイン関連の設定変更だったので
問題無かった。

でも、この後味の悪さは何だろう?

 File.150 / システムダウン

最高レベル管理者の権限で、宇宙船内のすべての機能が停止された。

全端末の接続が解除されたため、
権限を行使したのが誰なのかも分からなかった。

ローカス所長か?それとも他の研究員?
誰がやったのか分かったら、厳しい処分を受けてもらおう。
医療施設から全システムが停止したことに対する問い合わせがきた。
ダメだ。まずはローカス所長から探してみよう。

後でこの問題がなぜ起きたのかを再度記録する予定だ。
まずはこの緊急事態を何とか収めるために努力してみよう。

 

身元不明

 File.151 / 情報の劣化

情報の劣化についてご存じですか?
現象は情報となり、媒介から媒介へと移動します。
この過程で一部の情報は、どうしても失なうことになります。

人間もまた同じです。

あなたの感じる感情、
認知する世界のすべてが劣化されて伝わっています。
人間は限界が明確な存在です。
ですが、あのお方と一緒になることで私たちは限界を定めていた
肉身から解放され、真なる形として世界を認知することになります。

凶星は間もなく到来します。

 File.152 / 不快な愛

子は親に似るといいます。
そして人間もまた、あのお方に似ていこうとしています。
もちろん、人間は自身に意思があると思い
それぞれの方向へと進みます。

ですが、人類は小さな雫が集まって作られた波のように
ある方向に向けて進んでいます。
あのお方への歩みです。
私は一番早くその方向に気づいた預言者として、
より早く人類をあのお方へと導く使命を担っています。

凶星は間もなく到来します。

 File.153 / 1つの概念

人間はある概念をそのまま受け入れるのが難しく、
様々な表現と認知能力を使用します。

しかし、あのお方の中に入ると異なります。
1つの色を見て全宇宙の風景を感じることができます。
同じ道理で1つの人生は、
すべての人生の情報を持っていることもわかります。

信じられませんか?
それが人間の限界です。
残念に思えませんか?
自分の限界を直視することはとても難しいです。

凶星は間もなく到来します。

 File.154 / 御尊名

人間の発音はとても偏っています。
本来出せる周波数や音も決まっているのに、
学習によりその大半を損失しています。

こんなに未開な人間があのお方の御尊名を正確に
発音できるとは期待していません。

もちろん、私も同じく発音に限界があります。
ですが、慈悲深きあのお方は私たちの存在を哀れに思って
耳を傾けてくださいますので、
作られしものとしてそれに応じる必要があるのです。

凶星は間もなく到来します。

 File.155 / 教理は至るところに

私たちはあのお方が残した数多くの道標を目にします。

真理へと繋がる道なのに、まったく興味を示しません。
そのために預言者の私がいます。
果てしなく巨大な宇宙で、人間のように小さき存在が
未だ気づいていないあのお方との出会う機会を私が作るのです。

自分の小ささと儚さに気づき、身のほどをわきまえなさい!
そして真理を敬拝しなさい!

凶星は間もなく到来します。

 File.156 / 人間を愛する理由がどこにありますか

人間は中途半端な知能を持ったゆえに、
いつも自滅の危機に陥ります。
それで自己愛と人類愛が唱えられましたが、
人間を愛する理由がいったいどこにあるというのですか?

人間とその作られしものを愛する者の限界は明確です。
1人の人生は宇宙でちりほどの意味も持てず、
その愛もまた意味の無いものとなります。

人間が唯一意味を持てる瞬間は
あのお方を愛することだけです。

凶星は間もなく到来します。

 File.157 / 人類はゴミの塊

人類はゴミの塊です。
自分たちがどこに行くのかも知らず、
吹かれる風に抵抗できない行動を自分の意思だと思っている。
ゴミ箱が世界のすべてだと信じる人間。

ゴミはどうなるのでしょうか?
もっと大きな意思によって片付けられるか、飛ばされますよね。
風の前で揺らぐ灯はとても崇高だと思いませんか?
私が言った言葉ですが、なかなか良い例えでした。ではこれで。

凶星は間もなく到来します。

 File.158 / 好奇心は猫を殺す

すべての人間はいつも
より多くの知識を得ようとします。

しかし、時間と努力さえあればまるで世界のすべての知識を
手に入れられるとの錯覚に陥っています。

私があのお方の存在を知らせれば、
あのお方の存在以上の知識を得たがります。
しかし人間には理解できません。理解する必要もありません。
あのお方の考えが理解できた時、
既に偉大な存在の一部となっているでしょうから。

凶星は間もなく到来します。

 File.159 / 私たちの存在

偉大な存在が浮かび上がった暁が過ぎ、今は夜です。
私たちは偉大なるあのお方の夢から誕生した
空しくも儚い存在です。

あのお方が刹那と感じるものが私たちには永劫となり、
あのお方が咳をすると
死までも薄れる永劫の時に閉じ込められるでしょう。
理由も分からず迎える終末は、どれだけあっけないものでしょうか。

せめて人間の真なる本質を知らしめるのが
私に与えられた小さき使命です。

凶星が間もなく到来します。

 File.160 / 不完全さの寂しさ

寂しさを感じたことはありますか?
海や山、あるいは宇宙に一人離れて感じる寂しさは、
人間を狂わせます。

いくら人間が嫌いでも、他人と共に暮らすべきものです。
人間は不完全で出来損ないですから。

なので一つになりましょう。
私たちがあのお方の一部となれば
あのお方の真理を受け入れることで、寂しさは消えるはずです。

凶星が間もなく到来します。

 

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